最新記事
航空機事故

エチオピア航空墜落で中国が同型機を運航停止に:昨年の墜落機の問題は何だったのか

What We Know About Boeing 737 MAX 8

2019年3月11日(月)16時16分
ギラン・エディベイン

エチオピアの首都アジスアベバの南西で墜落したエチオピア航空302便の残骸(3月11日) Tiksa Negeri-REUTERS

<世界中で人気のボーイングの新型機737MAX8は半年で2度目の墜落、乗員・乗客はどちらも全員死亡。中国当局は、国内の全便に3月11日までの運航停止を命じた>

ケニアの首都ナイロビ行きのエチオピア航空機が3月10日、エチオピアの首都アディスアベバを飛び立って6分後に墜落し、乗員・乗客157人全員が死亡した。

同機はボーイング737MAX8(定員210人)という、2017年に就航したばかりの新しい機種だった。事故原因は不明だが、昨年10月にはインドネシアのライオン航空の同型機が墜落し、乗員・乗客189人全員が死亡する事故が起きており、MAX8の大きな事故はこの半年で2件目となる。

2つの事故に関連があるかどうかは分かっていない。ボーイングと米政府は調査担当者を事故現場に派遣した。

ボーイングは声明で犠牲者の遺族に哀悼の意を示すとともに、「要請があれば、米運輸安全委員会(NTSB)の指示に従って技術チームが技術支援を行う用意がある」と述べた。

ボーイングのウェブサイトによれば、737MAXはこれまでに、世界の100の航空会社などから4700機以上を受注している(MAX7、MAX8、MAX9、MAX10を合わせた数)。世界各地の航空会社が導入し、毎日数多くの機体が空を飛んでいる。

世界中で人気の機種

ボーイングはMAX8(定員210人)について、既存の737型機(航空機の歴史上最も売れた機種だ)の燃費改良版として売り込んできた。

ライオン航空機の事故では、ボーイングがソフトウエアの変更点に関する適切な情報提供やパイロットへの訓練を怠ったとの疑いから調査が行われた。疑念と批判の矛先は、ニューヨーク・タイムズから同型機の認可が甘かったと報じられた連邦航空局(FAA)にも向けられた。

調査の中心となったのは、失速防止ソフトウエアのアップデートだった。ニューヨーク・タイムズの記事によればボーイングとFAAは、従来から使われている非常事態の対応手順が分かっていれば機体を制御するには十分であり、ソフトウエアの変更点についてパイロットに知らせる必要はないと考えていたという。

「航空会社がシームレスな訓練と導入を行えるようにしたいという考えもあって、われわれは故意にMAX8がそのように動くように設計した」と、ボーイングのデニス・マレンバーグ最高経営責任者(CEO)は12月、CNBCに語った。「これまでとは異なる設計の航空機であっても、機体はパイロットの操作で同じように動くように設計されている」

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

FRB、利下げ継続可能 ペースの不透明感増大=セン

ワールド

ガザ人質解放で合意の可能性、ハマスに圧力=イスラエ

ビジネス

ECB、次回理事会で段階的利下げの公算=クロアチア

ビジネス

物価と雇用は正しい方向へ、リスクは存在=米リッチモ
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:サステナブルな未来へ 11の地域の挑戦
特集:サステナブルな未来へ 11の地域の挑戦
2024年12月10日号(12/ 3発売)

地域から地球を救う11のチャレンジと、JO1のメンバーが語る「環境のためできること」

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    健康体の40代男性が突然「心筋梗塞」に...マラソンや筋トレなどハードトレーニングをする人が「陥るワナ」とは
  • 2
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 3
    韓国ユン大統領、突然の戒厳令発表 国会が解除要求可決、6時間余で事態収束へ
  • 4
    混乱続く兵庫県知事選、結局SNSが「真実」を映したの…
  • 5
    NewJeansの契約解除はミン・ヒジンの指示? 投資説な…
  • 6
    BMI改善も可能? リンゴ酢の潜在力を示す研究結果
  • 7
    肌を若く保つコツはありますか?...和田秀樹医師に聞…
  • 8
    【クイズ】核戦争が起きたときに世界で1番「飢えない…
  • 9
    JO1が表紙を飾る『ニューズウィーク日本版12月10日号…
  • 10
    ついに刑事告発された、斎藤知事のPR会社は「クロ」…
  • 1
    BMI改善も可能? リンゴ酢の潜在力を示す研究結果
  • 2
    エリザベス女王はメーガン妃を本当はどう思っていたのか?
  • 3
    健康体の40代男性が突然「心筋梗塞」に...マラソンや筋トレなどハードトレーニングをする人が「陥るワナ」とは
  • 4
    ウクライナ前線での試験運用にも成功、戦争を変える…
  • 5
    メーガン妃の支持率がさらに低下...「イギリス王室で…
  • 6
    NewJeansの契約解除はミン・ヒジンの指示? 投資説な…
  • 7
    「時間制限食(TRE)」で脂肪はラクに落ちる...血糖…
  • 8
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋…
  • 9
    エスカレートする核トーク、米主要都市に落ちた場合…
  • 10
    バルト海の海底ケーブルは海底に下ろした錨を引きず…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 4
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋…
  • 5
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 6
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 7
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 8
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 9
    ロシア陣地で大胆攻撃、集中砲火にも屈せず...M2ブラ…
  • 10
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中