最新記事

韓国事情

韓国のPM2.5が危機的状況で、比較的空気の綺麗な日本に注目が集まる

2019年3月12日(火)17時30分
佐々木和義

比較的空気が清浄な日本に関心が集まっている

大気汚染が深刻化するなか、空気が比較的清浄な日本に関心が集まっている。ソウルの1平方メートルあたりのPM2.5濃度が125マイクログラムを記録した6日正午の東京のPM2.5濃度は環境省の基準をわずかに下回る32.49マイクログラムだった。東京の一日の平均値はWHOの指針より低い21.84マイクログラムである。

高度成長期に光化学スモッグに悩まされた日本が、官民上げて対策に取り組んだ結果だが、韓国の政府関係者や専門家のなかには、地理的要件をあげる人が少なくない。中国で発生したPM2.5粒子が風に乗って朝鮮半島まで飛来した後、徐々に落下して日本に到達する前に飛散するという主張だ。

しかし、以前から繰り返されてきた飛来説に中国政府は真っ向から反対する。中国外務省の陸慷報道局長は会見で、中国の大気汚染は大幅に改善されたがソウルの粒子状物質の濃度が上昇しているなどと反論した。

中国と共同で人工降雨実験を推進する案も浮上

中国と共同で人工降雨実験を推進する案も浮上している。中国は過去に世界最大規模の人工降雨実験を行なったとされている。具体的なデータは公表していない。2019年1月に韓国気象庁の国立気象科学院と環境部の国立環境科学院が行なった実験でも雨や雪が降る様子は観測されず、人工降雨でPMの低減効果が確認された事例はない。

これまで韓国では問題が起こるたびに、国民は政府に対策を強要してきたが、非常低減措置の発令を繰り返すだけの政府に頼る時間的な余裕はない。対応するマスクや空気清浄機に加えて、防毒マスクを買う人も増えている。非常低減措置が発令された3月1日から3日にかけて空気清浄機の販売数は前年比で171%増加し、防毒マスクの販売量も前年同期比82%増となっている。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

再送-AIが投資家の反応加速、政策伝達への影響不明

ビジネス

米2月総合PMI、1年5カ月ぶり低水準 トランプ政

ワールド

ロシア、ウクライナ復興に凍結資産活用で合意も 和平

ワールド

不法移民3.8万人強制送還、トランプ氏就任から1カ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ウクライナが停戦する日
特集:ウクライナが停戦する日
2025年2月25日号(2/18発売)

ゼレンスキーとプーチンがトランプの圧力で妥協? 20万人以上が死んだ戦争が終わる条件は

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 3
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 4
    1888年の未解決事件、ついに終焉か? 「切り裂きジャ…
  • 5
    飛行中の航空機が空中で発火、大炎上...米テキサスの…
  • 6
    ソ連時代の「勝利の旗」掲げるロシア軍車両を次々爆…
  • 7
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 8
    私に「家」をくれたのは、この茶トラ猫でした
  • 9
    ビタミンB1で疲労回復!疲れに効く3つの野菜&腸活に…
  • 10
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 3
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ...犠牲者急増で、増援部隊が到着予定と発言
  • 4
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン…
  • 5
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 6
    朝1杯の「バターコーヒー」が老化を遅らせる...細胞…
  • 7
    7年後に迫る「小惑星の衝突を防げ」、中国が「地球防…
  • 8
    墜落して爆発、巨大な炎と黒煙が立ち上る衝撃シーン.…
  • 9
    ビタミンB1で疲労回復!疲れに効く3つの野菜&腸活に…
  • 10
    「トランプ相互関税」の範囲が広すぎて滅茶苦茶...VA…
  • 1
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 4
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」…
  • 5
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
  • 6
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」…
  • 7
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 8
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 9
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のア…
  • 10
    世界初の研究:コーヒーは「飲む時間帯」で健康効果…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中