最新記事

巨大IT規制

「GAFA解体」を主張する米上院議員の政治広告をフェイスブックが削除

2019年3月13日(水)17時45分
松岡由希子

「米国の大手IT企業であるグーグル、アマゾン、フェイスブックを解体する」上院議員エリザベス・ウォーレン James Lawler Duggan-REUTERS

<米民主党の上院議員エリザベス・ウォーレンが、「米国の大手IT企業であるグーグル、アマゾン、フェイスブックを解体する」との方針を示して、フェイスブックにこの内容の広告を掲載したところ、フェイスブックは、これを削除して問題に>

2020年の米大統領選への出馬を正式に表明している民主党の上院議員エリザベス・ウォーレンが、2019年3月8日、公式ブログで「米国の大手IT企業であるグーグル、アマゾン、フェイスブックを解体する」との方針を示し、フェイスブックにこの内容の政治広告を掲載したところ、フェイスブックは、ウォーレンの政治広告を削除した。

アメリカの政治専門ニュースメディア「ポリティコ」が3月11日に報じたもので、ポリティコの報道後、削除された政治広告はフェイスブックに再掲載されている。

「競争を妨げ、私たちの個人情報を使って利益を得、市場をゆがめている」

巨大なデジタルプラットフォームをグローバルに展開するグーグル、アマゾン、フェイスブックは、スマートフォンなどのモバイル端末の普及に伴って急速に成長を遂げ、私たちのデジタルライフにも大きな影響力をもたらしてきた。

インターネットを通じて送受信される情報量全体の7割以上がグーグルとフェイスブックの影響下にあり、米国のネット通販市場の約半数をアマゾンが占めている

ウォーレンは、このような現状をふまえて「大手IT企業は、私たちの経済、社会、民主主義に過大な力を持っている。競争を妨げ、私たちの個人情報を使って利益を得、市場をゆがめており、これによって中小企業を害し、イノベーションを阻害している」と主張。そして、「私の政権では、IT業界の競争を促進するべく、グーグル、アマゾン、フェイスブックの解体を含め、大幅な構造改革を断行する」と宣言している。

削除された政治広告は、動画やウォーレンのウェブサイトへのリンクなどが含まれ、「大手IT企業の解体案に賛成しよう」と有権者に訴えたものであった。ウォーレンは、この政治広告のほかにも、10個以上の政治広告をフェイスブックに掲載しているが、削除されたのはこの政治広告だけだ。

「唯一の検閲者によって支配されないソーシャルメディア市場を望む」

フェイスブックの広報担当者は、ポリティコの取材に対して、ウォーレンの政治広告を削除したことを認め、その理由について「『広告にフェイスブックの企業ロゴを使用してはならない』とする利用規約に違反したため」と釈明するとともに「フェイスブック上で活発な議論ができるよう、ウォーレン氏の政治広告を再掲載する」と回答した。

ウォーレンは、自身の政治広告がフェイスブックに削除されたことを受け、ツイッターアカウントで「広告を再掲載してくれることには感謝する」としながらも、「#BreakUpBigTech(大手IT企業の解体)」というハッシュタグとともに「唯一の検閲者によって支配されないソーシャルメディア市場を私は望む」と述べている。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米国、鳥インフルで鶏卵価格高騰 過去最高を更新

ワールド

トランプ氏次男妻、上院議員への転身目指さず ルビオ

ワールド

クルド人武装勢力、シリアの将来に入り込む余地ない=

ビジネス

ホンダと日産、経営統合視野に協議入り 三菱自も出席
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:アサド政権崩壊
特集:アサド政権崩壊
2024年12月24日号(12/17発売)

アサドの独裁国家があっけなく瓦解。新体制のシリアを世界は楽観視できるのか

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命をもたらす可能性も【最新研究】
  • 2
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が明らかにした現実
  • 3
    おやつをやめずに食生活を改善できる?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 4
    トランプ、ウクライナ支援継続で「戦況逆転」の可能…
  • 5
    【駐日ジョージア大使・特別寄稿】ジョージアでは今、…
  • 6
    「私が主役!」と、他人を見下すような態度に批判殺…
  • 7
    コーヒーを飲むと腸内細菌が育つ...なにを飲み食いす…
  • 8
    「オメガ3脂肪酸」と「葉物野菜」で腸内環境を改善..…
  • 9
    「スニーカー時代」にハイヒールを擁護するのは「オ…
  • 10
    「たったの10分間でもいい」ランニングをムリなく継続…
  • 1
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が明らかにした現実
  • 2
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命をもたらす可能性も【最新研究】
  • 3
    ロシア軍は戦死した北朝鮮兵の「顔を焼いている」──ゼレンスキー
  • 4
    村上春樹、「ぼく」の自分探しの旅は終着点に到達し…
  • 5
    おやつをやめずに食生活を改善できる?...和田秀樹医…
  • 6
    女性クリエイター「1日に100人と寝る」チャレンジが…
  • 7
    【クイズ】アメリカにとって最大の貿易相手はどこの…
  • 8
    「どんなゲームよりも熾烈」...ロシアの火炎放射器「…
  • 9
    【駐日ジョージア大使・特別寄稿】ジョージアでは今、…
  • 10
    コーヒーを飲むと腸内細菌が育つ...なにを飲み食いす…
  • 1
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が明らかにした現実
  • 2
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命をもたらす可能性も【最新研究】
  • 3
    ロシア兵「そそくさとシリア脱出」...ロシアのプレゼンス維持はもはや困難か?
  • 4
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋…
  • 5
    半年で約486万人の旅人「遊女の数は1000人」にも達し…
  • 6
    ロシア軍は戦死した北朝鮮兵の「顔を焼いている」──…
  • 7
    「炭水化物の制限」は健康に問題ないですか?...和田…
  • 8
    ミサイル落下、大爆発の衝撃シーン...ロシアの自走式…
  • 9
    コーヒーを飲むと腸内細菌が育つ...なにを飲み食いす…
  • 10
    2年半の捕虜生活を終えたウクライナ兵を待っていた、…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中