737MAX、修正プログラム完成でも運行再開は見通せず 米国主導の認証制度に変化も
FAAにプレッシャー
過去何十年にもわたり、大国も小国もFAAのリードに従ってきた。だが今回、2件目の墜落事故を受けてFAAが出した「運航停止を指示する根拠はない」とする見解には従わない国が多かった。
実際、主要国の航空当局の間で、FAAだけが独自の立場を取っていた。まず中国が、そしてシンガポール、英国、カナダが運航を停止。トランプ米大統領が同型機の運航停止を表明したのは、その後だった。
運航再開に向けて動くFAAとボーイングには今、海外から厳しい目が向けられている。中国はここでも、規制当局の「序列」をひっくり返し得る立場にある。
中国は25日、737MAX型機の耐空証明の申請受付を停止した。
カナダと欧州、そしてトルコは、FAAによる承認後でもパッチの検証に必要なだけ時間をかける方針を示唆している。従来であれば、FAAが承認すれば他国もそれに追随することが多かった。
規制当局間の力関係の変化は、問題の早期解決を目指すボーイングにとって障害となると、専門家はみている。
また、世界各国の航空当局が慎重な姿勢を強めることで、米国とカナダ、欧州が新型機の安全認証を認め合う相互システムに依拠している現在の仕組みにも広範な影響が出るだろう。
新型機の認証に際し、FAAのような規制当局が重要部分を担うことで、他国の当局は同じ作業を繰り返さずに結果を承認できたため、コストと時間の節約になっていた。
コスト抑制と安全性の確保に貢献していたこのような世界的「信頼」の仕組みは、米国が適切な行動を取らなかったという疑念を各国が持ったことで揺らぐ恐れがあると、コンサルティング会社ティール・グループのアナリスト、リチャード・アボウラフィア氏は指摘する。
「新型機のシステムやイノベーション、開発のコストを押し上げる」
777Xの認証に影響か
カナダのガルノー運輸相はロイターに対し、昨年10月の墜落事故を受けて既にFAAの先を行く対応を取っており、安全認証のハードルを再び上げる用意があると話した。
「いつも(米国と)同じように行動する訳ではない。一定の安全の基準を超える必要がある。そのこと自体に何の問題もない」と、ガルノー氏は語った。
墜落事故の余波は、737型シリーズ以外にも広がる可能性がある。開発中の大型機ボーイング777Xの認証についても、欧州当局がより厳しく審査し、遅れる可能性があるとの見方を、ローンチカスタマー(最初に大規模発注を行う顧客)である独ルフトハンザ航空のカーステン・シュポア最高経営責任者(CEO)は示す。
「全体的に、各国当局は米国の認証を受け入れることにより慎重になるだろう。インドネシアとエチオピアで起きた悲しむべき事故がもたらした産物だ」と、同CEOは記者団に話した。
(Eric M. Johnson記者、 David Shepardson記者、Allison Lampert記者、翻訳:山口香子、編集:久保信博)
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