最新記事
イラン仏独英が新組織発足、ドルを介さずイランとの貿易維持へ 米国の制裁に対抗
仏独英の3カ国は、ドルを介さずにイランとの貿易を行うための特別目的事業体(SPV)を正式に発足したと明らかにした。写真はイラン国旗と石油基地の煙炎。2005年7月にペルシャ湾で撮影(2019年 ロイター/Raheb Homavandi)
仏独英の3カ国は31日、ドルを介さずにイランとの貿易を行うための特別目的事業体(SPV)を正式に発足したと明らかにした。米国の対イラン制裁再開後もイランとの貿易を継続する。
米国は昨年、欧州主要国の反対を押し切ってイランと主要国が2015年に合意した核合意を離脱し、経済制裁を再発動させた。
イランも、欧州が同国の経済的利益を保証しない限り核合意から離脱するとしていた。
欧州は、イランが核合意を順守することを条件に欧州企業とイランの取引を支援する方針を示していた。
新組織の名称は「貿易取引支援機関(INSTEX)」で、フランスで登録された。仏独英が株主で、今後他国の参加も期待されている。
イランが石油とガスを輸出し、代わりに欧州連合(EU)から製品を購入するなどの制度が検討されている。ただ、現実的には、人道支援のための製品や食糧などを対象とした小規模の取引にのみ使われる見通しという。
ある外交筋は「この制度で状況が大きく変わるとは思わないが、われわれがイランとの取引を継続する決意であるという政治的なメッセージを送るためには重要だ。また、米国の治外法権のような制裁にも関わらず、自身の利益をわれわれが守るという姿勢を米国に示すことができる」説明した。
EUは、数カ月の協議を経て今回の組織を発足。活動開始まではさらに数カ月かかるとみられる。
ハント英外相は、仏独英が最終合意に向けイランと密に協力していると説明し「(組織の)登録は大きな一歩だが、まだやるべきことが多くある」とコメントした。
イランのアッバス・アラグチ外務次官は、この仕組みは好ましい最初の一歩だと評価した。
今後、INSTEXの予算確保や規定策定が必要となる。また、イランも同様の組織を立ち上げる必要がある。
2024年11月5日/12日号(10月29日発売)は「米大統領選と日本経済」特集。トランプvsハリスの結果で日本の金利・為替・景気はここまで変わる[PLUS]日本政治と迷走の経済政策
※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら