春節で訪日客増えてもインバウンド消費は急減速 中国の景気減速や円高、新EC法も影響か
春節を見守る
今後に関しては、非常に読みにくい状況にある。2月5日から始まる春節で、中国からの訪日客がどのような消費行動をみせるか、百貨店各社は状況を見守っている。
ある百貨店の首脳は「以前のように爆買いがあるわけではないため、転売目的の購入が規制されても影響はそれほど大きくないのではないか」と、やや楽観的な見通しを示す。中国からの訪日客の1人当たりの旅行支出は、爆買い一服後の2016年以降、前年比マイナスで推移している。
一方で「インバウンド消費は、尖閣問題の時のように、急激に落ち込む可能性が皆無ではないため、あまり、過度な期待を持って織り込まないようにしている」とも話す。日本政府が発表した尖閣諸島の国有化により、2011年の中国人観光客の訪日数が26%減と大きく減少したことが関係者の頭をよぎる。
観光庁によると、2018年の訪日外国人の旅行消費額は4兆5064億円で過去最高となった。安倍晋三首相が「地域に一大産業が誕生したといってよい」と表現するほど、消費マーケットでは無視できない規模。
日銀大阪支店でも「今後、本格的な人口減少局面を迎えるが、インバウンド消費の増加は、人口減に伴う需要減を補いつつ、関西経済を引き続きけん引することが見込まれる」とするリポートを作成。インバウンド消費に期待をかけている。
2020年に旅行消費額8兆円という政府目標には、さらなる知恵が必要な状況だが、旅行消費額の約35%を占める中国からの訪日客の消費が落ち込めば、こうした目標が一層、遠のくとともに、日本の消費市場に与える影響も大きくなりそうだ。
(清水律子 編集:田巻一彦)
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