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商用ロケット

初打ち上げとなるか、飛行機からの空中発射ロケット「ランチャーワン」

2019年1月23日(水)16時50分
秋山文野

「ヴァージン・オービット」設立

2017年6月、ヴァージン・ギャラクティックから枝分かれする形で、CEOにボーイング社の元役員、ダン・ハート氏を迎え、「ヴァージン・オービット」という企業が設立された。ハートCEOはボーイング時代に空軍の基幹ロケット事業に携わり、GPS衛星やデータ中継衛星、軌道上実験機X-37Bなど政府系衛星の打ち上げを経験している。

打ち上げサービスを専任の企業が提供するようになって、衛星オペレーターがサービスを契約する場合のサービスガイドなどの文書が公開された。文書によれば、契約から打ち上げまで9ヶ月以内で、射場はアメリカ国内でカリフォルニア州モハベをはじめ3箇所ある。さらに、イギリス政府は英国内に打ち上げ射場を開設する計画を進めており、南部コーンウォール州の射場から2021年にランチャーワンを打ち上げる構想も持っている。

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ニュートン3エンジン燃焼試験の様子。ヴァージン・オービットのTweetより

商用ロケット企業の競争は激しい

さて、ランチャーワンの最初の打ち上げはいつ行われるのか。2018年末からTwitterアカウントでエンジン試験の様子やコズミック・ガールに取り付けられたランチャーワンの画像などを紹介している。当初の2018年初打ち上げという予定からは遅れているものの、衛星を搭載しない試験飛行は2019年初頭と見られている。不安要素があるとすれば米政府機関の一部閉鎖が長期化し、打ち上げライセンスを管轄する連邦航空局の活動にも支障が出ていることだが、これは機体側の問題ではない。リチャード・ブランソンの「間もなく」の言葉は現実化すると考えたい。

FAA(アメリカ連邦航空局)が毎年発表する商用ロケットの年次レポートによれば、2018年時点で小型衛星打ち上げ専用ロケットの事業計画は世界に50以上ある。競争は激しく、多くの計画が実際に衛星打ち上げを実現させるまで至らず消えていくだろう。だが、ヴァージン・オービットは中でも頭一つ抜きん出た生き残り有望な企業といえる。

2018年のヴァージン・オービット

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