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米政府閉鎖で一カ月近く無給の連邦職員、食料配給に殺到

Unpaid Federal Employees Turn to Food Banks

2019年1月18日(金)16時30分
キャサリン・ヒグネット

首都ワシントンでも連邦職員が無料の食事やコーヒーを求めて列に並んだ(1月16日) Jonathan Ernst-REUTERS

<政府閉鎖が史上最長を更新中するなか、貧困層向けのフードバンクに頼るしかない連邦職員が続出>

米連邦予算の一部失効による政府機関の一部閉鎖が1月17日、過去最長をさらに更新する27日目に突入し、自宅待機や無給状態になった全米で80万人の連邦職員の一部は食べるものにも困り、困窮者に食料を配給するフードバンクにすがるまでになっている。

米紙ニューヨーク・タイムズが1月16日に掲載した報告書によれば、一部閉鎖後は出勤日1日につき約2億ドルの給与が失われている。職員一人の平均では5,000ドルの給与を失った計算だ。

フードバンクで食料配給の順番を待つ連邦職員たち


次の給料日まで毎月、やっと食いつないできた職員の場合は、とてもそんな負担には耐えられない。イリノイ州シカゴからフロリダ州タンパ、カリフォルニア州サンフランシスコに至るまで、地元のニュース局は慈善団体に支援を乞わなければならなくなった米政府職員の様子を毎日伝えている。

「閉鎖後最初の給料日に給与が支払われなかったときから、連邦職員から問い合わせが来るようになった」と、ペンシルベニア州の団体「グレーター・ピッツバーグ・コミュニティー・フードバンク」のチャルラ・アーウィン・ブンチャーは1月15日、米テレビ局CBS系列の放送局KDKAに語った。「彼らを少しでも支援することで、彼らが貯蓄をもっと有効に使えて長持ちさせられればいいと思う。とくに食料品をクレジットカードで買わずに済むようにしてあげたい」

国境の壁にこだわるトランプらに抗議する連邦職員たち。「壁より仕事を」のサインも


閉鎖の長期化に懸念

ユタ州のキリスト教系フードバンク「ザ・カトリック・コミュニティー・サービス・オブ・ノーザン・ユタ」は、もし閉鎖が大幅に長引けば、配給用の食料が不足するかもしれないと心配する。「もしかすると食料を入れるカゴのサイズを小さくせざるを得ないかもしれないが、支援の窓口は今後も開放していく」と、コーディネーターのデボラ・ニールセンは米CNNに語った。

1月19日には、カリフォルニア州の団体「サンフランシスコ・マリン・フードバンク」が米沿岸警備隊の職員数百人とその家族を対象にした食料配給を実施予定だと、地元メディアのKQEDは報じた。さらに同フードバンクは、「Calfresh」として知られるカリフォルニア州の補充的食料支援プログラムの受給資格を職員たちに取得させる計画だ。

サンフランシスコにある別の団体「サンフランシスコ・ヒューマン・サービス・エージェンシー」は1月15日、政府閉鎖の影響を受けている職員の生活支援のため、2月の「Calfresh」の支給日を前倒しすると発表した。

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