最新記事

事件

ゴーン日産前会長、法廷へ 無罪主張し徹底抗戦「不当に非難・拘束された」

2019年1月8日(火)14時19分

1月8日、日産自動車の前会長、カルロス・ゴーン容疑者は午前、東京地裁に出廷し、無罪を主張した。写真は開廷前の東京地裁法廷。代表撮影(2018年 ロイター)

日産自動車の前会長、カルロス・ゴーン容疑者は8日午前、東京地裁に出廷し、無罪を主張した。東京地検特捜部の逮捕理由は根拠がなく、不当に非難、拘束されたと訴え、全面的に争う姿勢を鮮明にした。

この日の法廷での手続きは、ゴーン前会長が、勾留理由の開示を東京地裁に請求し、午前10時半から開始され、フランスとレバノンの駐日大使も傍聴した。

ゴーン前会長が公の場に姿をみせるのは、昨年11月19日の逮捕以来、50日ぶり。ゴーン前会長は、黒の上下のスーツを身に着け、法廷内の規則にしたがってサンダル履き。50日間の勾留生活のためか、少しやせた印象で入廷した。

勾留理由開示の手続きの中で多田裕一裁判官は、証拠隠滅や逃亡の恐れがあると理由を開示した。

これに対しゴーン前会長は、経営者として関わってきた日産に関連し「心からの親愛と感謝の気持ちを持っている」、「全力を尽くして、公明正大かつ合法的に業務を推進してきた」と語った。

その上で「根拠のない告発によって不当に非難され、不当に拘束された」と主張。「検察側の主張と異なり、私は日産から未開示の報酬を受け取ったことなく、未開示の固定金額を日産から受け取る拘束力のある契約を結んだこともない」と述べた。

東京地検特捜部が18億5000万円の損害を日産に与えたとする為替契約に関連した行為については、日産側の負担にはなっていないと指摘した。

ゴーン前会長の友人とされるジュファリ氏の会社への報酬額は、日産社内に開示され、適切に承認され、日産へのサービスの対価であると訴えた。

ゴーン前会長が、いわれのない嫌疑をかけられたと主張をしていることに対し、東京地検特捜部の捜査とは別に社内調査を進めてきた日産は、「実質的かつ説得力のある、不正行為の証拠が明らかになり、全会一致でゴーン氏を代表取締役から解職するに至った」(広報担当者)と説明。「当社の調査は続いており、その範囲は拡大している」とした。

ゴーン前会長は昨年11月19日、東京地検特捜部から金融商品取引法違反(有価証券虚偽記載)の容疑で逮捕され、12月10日に同法違反の罪で起訴された。

東京地検特捜部は12月10日、同法違反の容疑で再逮捕。東京地裁は12月20日、同特捜部が請求した勾留延長請求を却下した。

だが、同特捜部は12月21日、ゴーン前会長を会社法違反(特別背任)容疑で再逮捕し、東京地裁は12月31日、勾留を1月11日まで延長することを認める決定を下した。

東京地裁によると、14席の傍聴席に対し、希望者は1122人に達し、約80倍の高倍率となった。

同地裁関係者によると、昨年11月29日に行われた元モーニング娘。の吉澤ひとみ被告の初公判で、約1200人が傍聴席を求めて並んで以来の規模という。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2018トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

20250128issue_cover150.png
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年1月28日号(1月21日発売)は「トランプの頭の中」特集。いよいよ始まる第2次トランプ政権。再任大統領の行動原理と世界観を知る


※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

メキシコペソ下落、トランプ氏の対コロンビア関税受け

ワールド

アルゼンチン、ムーディーズが格上げ ミレイ政権で見

ワールド

EU兵のグリーンランド駐留「理にかなう」と軍事委議

ワールド

米FTC委員長、全職員にオフィスでのフルタイム勤務
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプの頭の中
特集:トランプの頭の中
2025年1月28日号(1/21発売)

いよいよ始まる第2次トランプ政権。再任大統領の行動原理と世界観を知る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    世界初の研究:コーヒーは「飲む時間帯」で健康効果が異なる【最新研究】
  • 2
    血まみれで倒れ伏す北朝鮮兵...「9時間に及ぶ激闘」で記録された「生々しい攻防」の様子をウクライナ特殊作戦軍が公開
  • 3
    女性クリエイター「1日に100人と寝る」チャレンジが物議...事後の悲しい姿に、「一種の自傷行為」の声
  • 4
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のア…
  • 5
    「1日101人とただで行為」動画で大騒動の女性、アメ…
  • 6
    「ハイヒールを履いた独裁者」メーガン妃による新た…
  • 7
    ネコも食べない食害魚は「おいしく」人間が食べる...…
  • 8
    軍艦島の「炭鉱夫は家賃ゼロで給与は約4倍」 それでも…
  • 9
    カンヌ国際映画祭受賞作『聖なるイチジクの種』独占…
  • 10
    「後継者誕生?」バロン・トランプ氏、父の就任式で…
  • 1
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のアドバイス【最新研究・続報】
  • 2
    戦場に「杖をつく兵士」を送り込むロシア軍...負傷兵を「いとも簡単に」爆撃する残虐映像をウクライナが公開
  • 3
    日鉄「逆転勝利」のチャンスはここにあり――アメリカ人の過半数はUSスチール問題を「全く知らない」
  • 4
    世界初の研究:コーヒーは「飲む時間帯」で健康効果…
  • 5
    失礼すぎる!「1人ディズニー」を楽しむ男性に、女性…
  • 6
    煩雑で高額で遅延だらけのイギリス列車に見切り...鉄…
  • 7
    被害の全容が見通せない、LAの山火事...見渡す限りの…
  • 8
    いま金の価格が上がり続ける不思議
  • 9
    「バイデン...寝てる?」トランプ就任式で「スリーピ…
  • 10
    軍艦島の「炭鉱夫は家賃ゼロで給与は約4倍」 それでも…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のアドバイス【最新研究・続報】
  • 3
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 4
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 5
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 6
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
  • 7
    中国でインフルエンザ様の未知のウイルス「HMPV」流…
  • 8
    失礼すぎる!「1人ディズニー」を楽しむ男性に、女性…
  • 9
    地下鉄で火をつけられた女性を、焼け死ぬまで「誰も…
  • 10
    戦場に「杖をつく兵士」を送り込むロシア軍...負傷兵…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中