K-POPアイドルBLACKPINKを宗教警察が逮捕? 公演控えたインドネシアでパロディ写真が議論に
過激な服装で放送禁止となったCM事件
インドネシアの大手オンライン通販の「ショッピー」のテレビCMに登場したBLACKPINKは、ミニスカートやホットパンツにノースリーブで肩を出した服装だったことから「過度の肌の露出は極めて下品で淫らである」としてインドネシア国家放送委員会が2018年12月11日にCMの放映禁止をテレビ11局に通達した(「インドネシア当局、K-POPアイドルBLACKPINKのCM放送中止を要請 イスラム的道徳観では淫らで下品」)。
もっとも放送禁止を打ち出したのはこのCMの放映契約が切れる日と同日だったために、ショッピー側には実害はほとんどなく、放送禁止となったことで逆に大きな宣伝効果があったとされている。
このときはBLACKPINKファンによる懇願にも関わらずに約10万人が「放送禁止」を求めて署名するなど、インドネシアでは大きな騒動となった経緯がある。
今回、パロディ写真を作成したアガン氏は「インドネシアの検閲制度にはうんざりしている。女性の体のごく限られた部分や水着姿でさえその批判の対象となり、禁止だ、削除だ、となる現状はまったくおかしい」とメディアのインタビューに答えている。
アガン氏のインスタグラムでのパロディ写真による「宣伝効果」もあったのか、BLACKPINKのジャカルタコンサートは当初20日だけだったが、人気の沸騰とファンの強い要望から急きょ前日の19日に追加公演が行われることが決まった。
彼女たちの曲を借りれば「PLAYING WITH FIRE(火遊び)」のような危ないCMが放送禁止となったものの、それで「AS IF IT'S YOUR LAST(最後のように)」とはならず、インドネシアでのBLACKPINKの人気は衰えるどころか、ますます急上昇している。
[執筆者]
大塚智彦(ジャーナリスト)
PanAsiaNews所属 1957年東京生まれ。国学院大学文学部史学科卒、米ジョージワシントン大学大学院宗教学科中退。1984年毎日新聞社入社、長野支局、東京外信部防衛庁担当などを経てジャカルタ支局長。2000年産経新聞社入社、シンガポール支局長、社会部防衛省担当などを歴任。2014年からPan Asia News所属のフリーランス記者として東南アジアをフィールドに取材活動を続ける。著書に「アジアの中の自衛隊」(東洋経済新報社)、「民主国家への道、ジャカルタ報道2000日」(小学館)など
2024年11月26日号(11月19日発売)は「超解説 トランプ2.0」特集。電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること。[PLUS]驚きの閣僚リスト/分野別米投資ガイド
※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら