ワインブーム続く日本でシェア拡大するニュージーランド産ワイン CPTPP発効が追い風に
のどかなニュージーランド(NZ)の丘陵地域から、こじゃれた東京の食卓へ──。ホークスベイ産ワインがたどる長い旅路は、自由貿易協定に支えられた大いなる成功への道だと、NZのワイン輸出業者は希望を膨らませている。提供写真。2015年撮影(2018年 ロイター Sileni Wines Limited Partnership/Handout via REUTERS)
のどかなニュージーランド(NZ)の丘陵地域から、こじゃれた東京の食卓へ──。ホークスベイ産ワインがたどる長い旅路は、自由貿易協定に支えられた大いなる成功への道だと、ナイジェル・エイブリー氏らNZのワイン輸出業者は希望を膨らませている。
同氏が経営する「シレーニ・エステート」は、日本とNZなど11カ国が参加する自由貿易協定が、事業の追い風になると期待している。米国と中国がいまだ貿易戦争の泥沼から抜け出せず、欧州事業も英国の欧州連合(EU)離脱騒ぎで混乱しているだけに、なおさらだ。
トランプ大統領の決断によって米国が抜けたとはいえ、この「包括的及び先進的な環太平洋パートナーシップ協定」(CPTPP)がカバーする地域は世界経済の10分の1以上を占めている。
これにより、マレーシア産ゴムやオーストラリア産牛肉などのニッチな業界では、将来に向けた期待が高まっている。裕福な日本の愛飲家の心をつかみたいと切望するNZのワイン業者も同様だ。
30日のCPTPP発効を受けて、日本政府はNZ産ワインに課している現在15%の輸入関税の引き下げに着手する。2025年までに完全撤廃を目指す。
米農務省が総額16億ドル(約180億円)と試算する輸入取引に対して、ワインの売上げはわずかであり、その成長を加速するには、NZのワイン生産者は販促投資を充実させて、欧州産ワインの優位に挑まなければならないだろう、と日本の輸入業者は指摘する。
ワイン生産量において、NZのトップ10ブランドに入るシレーニ・エステートには、売上げを拡大するポテンシャルがあると、エイブリー氏は確信している。
「いわゆる『旧世界』産ワインの消費が多い(日本)市場が成熟するにつれて、もう少し視野を広げようという動きが始まっている。確実にNZワインにも出会うだろうし、われわれのワインを飲んだ人は本当に気に入ってくれる」と、16年からCEOを務めるエイブリー氏は語る。
とはいえ、欧州のワイン生産者もこれを座視するつもりはなく、近々新たな自由貿易協定を締結する予定だ。日本と欧州連合(EU)間の関税削減に向けた包括的協定は、早ければ19年2月に発効する見込みだ。
「この貿易協定により、われわれの対日輸出は拡大し、輸出リーダーとしての立場は強まるだろう」。EUのワイン産業ロビー団体CEEVのジャンマリー・バリエール会長は12日、日本とEUの経済連携協定(EPA)が欧州議会で承認されたことを受けた声明でそう述べた。