最新記事

映画

『ボヘミアン・ラプソディ』動員1000万人目前! 放送禁止だった韓国で大ヒットの理由は?

2019年1月29日(火)08時15分
杉本あずみ(映画配給コーディネーター)

アニメやSF映画以外の洋画としては過去最高のヒットとなった『ボヘミアン・ラプソディ』 (c) YTN NEWS / YouTube

<日本では興業収入100億円を突破したが、韓国ではアニメやSF映画を除く外国映画初の観客動員1000万人突破を目指している>

2018年のヒット映画の1つといえば、11月9日に日本公開され現在も上映中の『ボヘミアン・ラプソディ』だろう。日本での興行収入が100億円を突破し、この記録は現在アメリカに続く世界第2位。また、国内での2018年公開作品の興行収入第1位という記録となった。IMAX上映もされたが、IMAX作品における日本歴代興行収入ランキングでも歴代1位となった。このように日本では絶好調な本作であるが、お隣りの韓国ではどうだろう?

韓国では日本より1週早く2018年10月31日に公開された。日本とは違い、12歳以上観覧可能(12歳以下は保護者同伴の場合のみ観覧可)のセンサーシップ付きだったが、公開後すぐに人気に火が付いた。儒教的倫理観が今も残っている韓国では、同性愛コードのある作品は、それそのものがテーマでなくてもなかなか大ヒットに繋がりにくいが、本作は順調に客足を伸ばし続けた。

韓国での興行は日本とは少し違い「興行収入」よりも「観客動員数」が注目される。今回、『ボヘミアン・ラプソディ』は2019年1月28日時点で、累計991万4604名を動員した(韓国映画振興委員会発表)。韓国映画界における大ヒットの基準でもある「1000万動員」までもうひと息と大健闘している。

15年間封印されていた「ボヘミアン・ラプソディ」

日本同様の盛り上がりを見せる韓国だが、実はクイーンの曲は韓国で放送禁止になっている曲が多い。映画の題名となった代表曲『ボヘミアン・ラプソディ』も、1989年まで約15年間放送禁止指定曲だった。"Mama, just killed a man......"という、殺人をしたという意味の歌詞が引っかかったのだという。その他にも、世界的に有名な「Don't stop me now」や「Bicycle race」も韓国では放送禁止曲だった。過激な歌詞などが韓国では悪影響と判断されたようだ。韓国の放送禁止曲の第1号は、1951年3月1日付けで執行された歌手ナム・インスの「기로의 황혼(岐路の黃昏)」だったという。昔は政府への批判やクーデターを思わせる歌詞など政治的な理由を中心に禁止されていたが、その後、性的な表現ととれる歌詞や過激な内容の曲が登場し、このような曲なども禁止対象となっていった。


観客動員900万人突破したことを伝える現地メディア YTN NEWS / YouTube

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

トランプ氏、米軍制服組トップ解任 指導部の大規模刷

ワールド

アングル:性的少数者がおびえるドイツ議会選、極右台

ワールド

アングル:高評価なのに「仕事できない」と解雇、米D

ビジネス

米国株式市場=3指数大幅下落、さえない経済指標で売
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ウクライナが停戦する日
特集:ウクライナが停戦する日
2025年2月25日号(2/18発売)

ゼレンスキーとプーチンがトランプの圧力で妥協? 20万人以上が死んだ戦争が終わる条件は

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 3
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 4
    1888年の未解決事件、ついに終焉か? 「切り裂きジャ…
  • 5
    飛行中の航空機が空中で発火、大炎上...米テキサスの…
  • 6
    ソ連時代の「勝利の旗」掲げるロシア軍車両を次々爆…
  • 7
    私に「家」をくれたのは、この茶トラ猫でした
  • 8
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 9
    メーガン妃が「アイデンティティ危機」に直面...「必…
  • 10
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 3
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ...犠牲者急増で、増援部隊が到着予定と発言
  • 4
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン…
  • 5
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 6
    朝1杯の「バターコーヒー」が老化を遅らせる...細胞…
  • 7
    7年後に迫る「小惑星の衝突を防げ」、中国が「地球防…
  • 8
    墜落して爆発、巨大な炎と黒煙が立ち上る衝撃シーン.…
  • 9
    ビタミンB1で疲労回復!疲れに効く3つの野菜&腸活に…
  • 10
    「トランプ相互関税」の範囲が広すぎて滅茶苦茶...VA…
  • 1
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 4
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」…
  • 5
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
  • 6
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」…
  • 7
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 8
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 9
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のア…
  • 10
    世界初の研究:コーヒーは「飲む時間帯」で健康効果…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中