2019年はどんな年?金融市場のテーマと展望
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トランプの政策に翻弄された2018年(12月1日、ブエノスアイレスでの米中首脳会談) Kevin Lamarque-REUTERS
<「一強米国」の景気動向、米中貿易摩擦、イギリスのEU離脱など大型リスクが存在する2019年、円高・株安リスクを常に警戒すべきだ>
<要旨>
1、2018年のこれまでの市場の動きを振り返ると、ドル円は底堅い一方、株価はやや下落している。為替市場では、貿易摩擦への懸念などでリスク回避的に円が買われたが、大規模減税等に伴う好調な米経済への信頼感や金利上昇からドルも買われたことで、ドル円では概ね横ばいを維持した。一方、株式市場では、好調な米経済が下支えとなったものの、貿易摩擦に伴う中国経済減速懸念などが下落要因となった。米利上げが米株価の逆風となり、日本株の抑制に働いた面もある。トランプ政権の政策の影響を大きく受けたという意味で、「2018年はトランプ政権に翻弄された一年」と総括できるだろう。
2、それでは、来年2019年は金融市場にとってどのような年になるのだろうか?内外の注目材料としては、米国については景気、利上げ、貿易摩擦の行方、中国については景気減速の度合い、欧州については政治リスク、国内については景気(消費税引き上げの影響)と参院選などが挙げられる。日銀の政策変更はないだろう。
3、メインシナリオとしては、米経済は来年後半に減速するもののゆるやかな減速に留まるため、FRBは2回の利上げを実施、米金利は持ち直すと見ている。ドル円は来年夏にかけて上昇し、その後は利上げ打ち止め観測から緩やかに下落するが、今年と比べると、やや円安ドル高水準での推移を予想している。日本の株価についても、足元の過度な悲観が修正されるにつれて、円安と歩調を合わせる形で持ち直すと見ている。
4、ただし、米国も含めて世界経済が加速する可能性は低く、大幅な円安・株高は見込みづらい。また、米国の保護主義に端を発する貿易摩擦は来年も続く可能性が極めて高く、株安・リスク回避の円買い圧力が強まる局面がたびたび発生するだろう。様々な大型リスクが存在しているだけに、円高・株安リスクに警戒を怠れない状況が続きそうだ。