「同胞」北朝鮮に無知な韓国の子供たち 統一教育見直しへ
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11月22日、いまだ戦争状態にある韓国と北朝鮮だが、この1年の融和ムードにより、関係強化の見通しが立ち始めた。だが、韓国の一般的な学校では、はっきりそうとは言えないかもしれない。写真は統一旗に描かれた朝鮮半島をペイントする少女。ソウルで4月撮影(2018年 ロイター/Kim Hong-Ji)
いまだ戦争状態にある韓国と北朝鮮が、何らかの形で統一を見るのはまだかなり先の話だとしても、この1年の融和ムードにより、関係強化の見通しが立ち始めた。
だが、韓国の一般的な学校では、はっきりそうとは言えないかもしれない。
「何も知らない。年に2度、学校で統一や国家の安全保障、北朝鮮人の生活について学ぶが、大体いつも聞き流している」と、17歳のノ・ハナさんは言う。
今年進展した南北間の緊張緩和は、北の隣人に関する韓国人の無知を露呈させたと多くの専門家は指摘する。韓国政府は、国民が北朝鮮と統一について学ぶ方法を改善しようと努めている。
現在の教育方法では、若い韓国人に北朝鮮やその国民、同国の指導者である金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長について微妙なニュアンスを理解する大切さを教えることはできないと、韓国統一教育院を率いるBaek Jun-kee氏は指摘する。
「中学校や高校で、この問題に合理的にアプローチし、この問題が(生徒の)私生活にどう影響するのかを示すことができなければ、生徒たちの関心を引きつけておくことは難しいだろう」
南北間における文化交流や政府間の交流が増える中、北朝鮮専門家はますます重要になっているが、こうした教育上の欠点が一因で、官民双方の研究機関でこうした専門家が不足していると、専門家は口をそろえる。
「地方政府はどこも南北交流計画を打ち出しているが、専門家はおらず、知識もネットワークもない」と、韓国統一研究院(KINU)のホン・ミン研究員は指摘。「韓国大企業トップの一行が9月に平壌で開かれた南北首脳会議に同行したが、彼らのほとんどは社内に北朝鮮専門家を置いていなかった」
韓国の趙明均(チョ・ミョンギュン)統一相は今月、国会の公聴会で教育プログラムの財源削減を巡り批判を受け、統一に関する新たなカリキュラム作成は「喫緊の課題」だと語った。