最新記事
定年後

「人生100年時代」の暮らし方──どう過ごす?! 定年後の「10万時間」

2018年12月10日(月)15時00分
土堤内昭雄(ニッセイ基礎研究所 社会研究部 主任研究員)

定年後には、サラリーマン時代の常識が通用しないことも増える Koji_Ishii-iStock.

<サラリーマンはいつか定年の日を迎える。仕事から解放された時、アイデンティティをどこに求めたらよいのだろうか。他者から必要とされることが自らの居場所をつくり、アイデンティティの形成につながる>

はじめに~「人生100年時代」が訪れる

2017年の日本人の平均寿命は男性81.09歳、女性87.26歳。近い将来、「人生100年時代」が訪れるという。百歳高齢者表彰が始まった昭和38年の百歳以上の人はわずか153人だったが、昭和56年に千人、平成10年に1万人、平成24年に5万人を超えた。平成30年9月現在では69,785人にのぼり、女性が全体の約9割を占めている。わが国は急速に「人生100年時代」へ向っているのだ。

このような長寿時代に向けて、長くなった人生を全うするために教育、雇用、社会保障などのあり方が見直されている。年金財源が厳しいなか、われわれは今後、一層長く働き続けることが求められる。平成25年には高年齢者雇用安定法が改正され、厚生年金の支給開始年齢が3年毎に1歳ずつ引き上げられることに伴い、企業は2025年度までに65歳までの継続雇用を義務付けられた。

また、政府の未来投資会議は、希望する高齢者がより長く働けるように企業の継続雇用年齢をさらに65歳から70歳に引き上げる方針を表明している。年金の支給開始年齢の一層の引き上げも検討中だ。今後、雇用が延長された場合、退職後に元気に過ごせる時間が短くなる恐れもあり、「人生100年時代」を本当に楽しむためには、健康増進や体力維持が欠かせなくなるだろう。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

トランプ氏とゼレンスキー氏が「非常に生産的な」協議

ワールド

ローマ教皇の葬儀、20万人が最後の別れ トランプ氏

ビジネス

豊田織機が非上場化を検討、トヨタやグループ企業が出

ビジネス

日産、武漢工場の生産25年度中にも終了 中国事業の
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
2025年4月29日号(4/22発売)

タイ・ミャンマーでの大摘発を経て焦点はカンボジアへ。政府と癒着した犯罪の巣窟に日本人の影

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 2
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口の中」を公開した女性、命を救ったものとは?
  • 3
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは? いずれ中国共産党を脅かす可能性も
  • 4
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 5
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 6
    ロシア武器庫が爆発、巨大な火の玉が吹き上がる...ロ…
  • 7
    足の爪に発見した「異変」、実は「癌」だった...怪我…
  • 8
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 9
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 10
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 1
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 2
    「スケールが違う」天の川にそっくりな銀河、宇宙初期に発見される
  • 3
    【クイズ】「地球の肺」と呼ばれる場所はどこ?
  • 4
    「生はちみつ」と「純粋はちみつ」は何が違うのか?.…
  • 5
    女性職員を毎日「ランチに誘う」...90歳の男性ボラン…
  • 6
    教皇死去を喜ぶトランプ派議員「神の手が悪を打ち負…
  • 7
    自宅の天井から「謎の物体」が...「これは何?」と投…
  • 8
    トランプ政権はナチスと類似?――「独裁者はまず大学…
  • 9
    健康寿命は延ばせる...認知症「14のリスク要因」とは…
  • 10
    【クイズ】世界で最もヒットした「日本のアニメ映画…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった...糖尿病を予防し、がんと闘う効果にも期待が
  • 3
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 4
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 5
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 6
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 7
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 8
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 9
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中