中国とオーストラリアが戦略要衝パプアニューギニア巡り火花 南太平洋の勢力争い
中国は、島しょ国の開発支援に隠れた動機はなく、オーストラリアは自分たちをライバルではなく地域のパートナーとして見るべきだとしている。
中国の習近平国家主席は16日、この地域の島しょ国8カ国との首脳会議で巨大経済圏構想「一帯一路」をアピールするとみられ、構想の参加に手を挙げる国が出てくることが予想される。
オーストラリアのモリソン首相は、太平洋地域を自国の「縄張り」と位置づけ、影響力を強める中国に対抗し、インフラ整備に最大30億豪ドル(約2500億円)の低利融資や無償融資を提供することを申し出ている。
「オーストラリアが太平洋地域から目を離したせいで、リセットを余儀なくされたと国内では受け止められている」と、メルボルンにあるラ・トローブ大学のニック・ビスリー教授(国際関係学)は言う。
<足並みそろわぬ西側>
加盟する21カ国・地域の中で最貧国のパプアニューギニアが、APEC首脳会議を開催するのは初めてとなる。同国にとって最重要課題は、不十分なインフラ設備や高い犯罪率、崩壊寸前の医療制度といったイメージを覆し、首都ポートモレスビーで開く会議を成功させることだと、西側当局者らは言う。
パプアニューギニア政府が会議の成功を重視していることを理解している豪中は、会議の開催に巨額の資金支援を行っている。
だが、APECを利用しようとする西側の努力を、米国の冷めた態度が台無しにしている。トランプ米大統領は会議に参加しない。
代わりにペンス副大統領が出席するが、期間中はポートモレスビーに滞在せず、オーストラリア北東部の都市ケアンズから毎日通うという。
一方、習主席はポートモレスビーに数日間滞在し、そこから周辺国を公式に訪問する予定だ。