最新記事

外交

中国とオーストラリアが戦略要衝パプアニューギニア巡り火花 南太平洋の勢力争い

2018年11月18日(日)09時29分

11月15日、戦略的な要衝に位置するパプアニューギニアを巡り、オーストラリアと中国が火花を散らしている。写真は、握手する中国の習近平国家主席(右)とパプアニューギニアのオニール首相を写真を使ったバナー。首都ポートモレスビーで撮影(2018年 ロイター/David Gray)

パプアニューギニアのオニール首相が6月、北部の沖合いに浮かぶマヌス島の港湾整備に中国が資金援助する可能性があると警鐘を鳴らすと、隣国オーストラリアは驚き、すぐさま反応した。

オーストラリアは8月に政権交代があったにもかかわらず、直ちに対抗案を策定したと、政府筋や外交筋はロイターに明らかにした。この島は戦略的な要衝に位置しており、中国軍の艦艇が定期的に寄港する懸念が出ていた。

米国の忠実な同盟国であるオーストラリアは今月、港の整備に資金協力すると発表した。南太平洋で中国が勢力を拡大しようとする中、オーストラリアがこの地域における影響力を改めて主張する動きだと、専門家はみている。

「マヌス島の港はわれわれにとって大きな懸念だった」と、米国の外交筋はロイターに語った。「中国軍の艦艇が港を使用する可能性は大いにあった。オーストラリアが港の再開発に資金提供することになり、われわれも非常に喜んでいる」

中国は第2の支援国

パプアニューギニアは今週、首都ポートモレスビーでアジア太平洋経済協力会議(APEC)の首脳会議を主催する。オーストラリアはこのタイミングに合わせ、これまでの口約束を正式な合意にすべく、準備を進めている。

パプアニューギニアでのAPEC開催は、太平洋地域における自由貿易の重要性を議論する一方、この地域で覇権を争う米国と中国が、影響力を広げるための場ともみられている。

中国は2011年以降、太平洋の島しょ国に13億ドル(約1500億円)規模の低利融資あるいは無償融資を行っており、オーストラリアに次いで2番目に大きな支援国となっている。西側諸国は、太平洋の小国が中国からの過剰な借金に苦しむことになるのではないかと懸念している。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

サムスン、第1四半期のAI半導体低迷を警告 米の対

ワールド

ガザ検問所に米退役軍人配置へ、イスラエル・アラブ諸

ワールド

米レーガン空港、ヘリとのニアミス事案頻発 80年代

ビジネス

コマツ、今吉専務が社長就任へ 小川社長は会長に
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプ革命
特集:トランプ革命
2025年2月 4日号(1/28発売)

大統領令で前政権の政策を次々覆すトランプの「常識の革命」で世界はこう変わる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    「DeepSeekショック」の株価大暴落が回避された理由
  • 4
    今も続いている中国「一帯一路2.0」に、途上国が失望…
  • 5
    東京23区内でも所得格差と学力格差の相関関係は明らか
  • 6
    ピークアウトする中国経済...「借金取り」に転じた「…
  • 7
    「やっぱりかわいい」10年ぶり復帰のキャメロン・デ…
  • 8
    DeepSeekショックでNVIDIA転落...GPU市場の行方は? …
  • 9
    空港で「もう一人の自分」が目の前を歩いている? …
  • 10
    フジテレビ局員の「公益通報」だったのか...スポーツ…
  • 1
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 2
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 3
    世界初の研究:コーヒーは「飲む時間帯」で健康効果が異なる【最新研究】
  • 4
    「DeepSeekショック」の株価大暴落が回避された理由
  • 5
    緑茶が「脳の健康」を守る可能性【最新研究】
  • 6
    DeepSeekショックでNVIDIA転落...GPU市場の行方は? …
  • 7
    血まみれで倒れ伏す北朝鮮兵...「9時間に及ぶ激闘」…
  • 8
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のア…
  • 9
    今も続いている中国「一帯一路2.0」に、途上国が失望…
  • 10
    煩雑で高額で遅延だらけのイギリス列車に見切り...鉄…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のアドバイス【最新研究・続報】
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀…
  • 5
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 6
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 7
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 8
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
  • 9
    中国でインフルエンザ様の未知のウイルス「HMPV」流…
  • 10
    失礼すぎる!「1人ディズニー」を楽しむ男性に、女性…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中