「ロシア疑惑」捜査妨害へ、トランプが司法長官を事実上更迭
Does Sessions Resignation Put Mueller Probe in Danger?
就任直後にはトランプのお気に入りだったセッションズ(写真右) Andrew Kelly-REUTERS
<中間選挙で下院を奪われた翌日、セッションズを電撃クビに。ムラー特別検察官の捜査が危ない?>
中間選挙から一夜明けた7日、ジェフ・セッションズ米司法長官はドナルド・トランプ米大統領の要求に応じて辞任した。これでトランプは、2016年の大統領選におけるロシア介入疑惑に関する捜査を中止させるか妨害する準備を整えたことになる。
セッションズは2017年3月、自身にも疑惑がおよんでいるため、ロシア疑惑の捜査には関与しないと宣言した。そのためロッド・ローゼンスタイン司法副長官がロバート・ムラーを特別検察官に任命し、みずからがトランプの妨害から捜査を守る盾となった。
セッションズ辞任後は、セッションズの首席補佐官だったマシュー・ウィテカーが司法長官代行を務め、ローゼンスタインに代わってムラーの捜査を監督することになる。ウィテカーは、捜査で判明した事実を最終報告書の形で公開するかどうかを決める権限ももつ。
セッションズが捜査不関与を宣言したときから、トランプは再三にわたって公然とセッションズを非難。こんなことなら、セッションズを指名すべきではなかったとぼやいていた。
「近眼のマグー」呼ばわり
ムラーの捜査開始から1年半経つが、トランプはロシア疑惑捜査を「不正に仕組まれた魔女狩り」と呼び、敵意をむき出しにしている。米民主党は、2016年の大統領選で指名候補のヒラリー・クリントンが敗北したことでトランプ陣営を逆恨みし、トランプ政権を貶めようとしている、というのだ。
トランプはセッションズが辞任し、ウィテカーが司法長官代行を務めることを8日早朝ツイッターで発表した。
「ジェフ・セッションズ司法長官の首席補佐官マシュー・G・ウィテカーが新たな司法長官代行に就任することを喜んで発表する。彼はわが国のために尽くしてくれるだろう。ジェフ・セッションズ司法長官の尽力に感謝し、彼の幸福を祈りたい!正式な後任者は後日指名される」
大統領宛の辞表で、セッションズは司法のトップの職責を果たせたことを「名誉に思い、大統領を目指すあなたの選挙戦の中核を成した法の支配に基づいて、法執行機関の課題を実施すべく努めてきた」と述べた。
セッションズが更迭されるとの憶測は、何カ月も前から盛んに飛び交っていた。メディアは、トランプが彼を面と向かって罵っているとリーク。目が悪いために失敗を重ねるアニメのキャラクター「近眼のマグー」呼ばわりしていたことまで伝わっていた。