中国人投資家、今度はギリシャ不動産「爆買い」に走るワケ
10月29日、アテネの空港では、週に3回到着する何百人もの中国人投資家を、ギリシャの不動産仲介業者が出迎えている。写真は、物件を案内されるリアン・ウェンミンさん(29)。アテネで5月撮影(2018年 ロイター/Costas Baltas)
アテネの空港では、週に3回到着する何百人もの中国人投資家を、ギリシャの不動産仲介業者が出迎えている。売り出し中の物件に案内するため、市内の現場に車で直行する。
底値の不動産価格と、欧州の中でも寛大な「ゴールデン・ビザ」制度に引き寄せられ、中国からギリシャにやって来る訪問者は後を絶たない。ギリシャの場合、不動産に25万ユーロ(約3200万円)投資すれば、更新可能な5年間の滞在許可が得られる。
それは、首都アテネにあるアクロポリスの丘を一望できる寝室3部屋付きの物件を購入するには十分な額だ。
ギリシャ経済が2009年の債務危機を受けて崩壊し始めてから、初めて不動産市場に回復の兆しが見えている。ただし不動産価格はピーク時と比べ、いまだに4割程度低い水準にある。
アテネ在住のバシリスさんは昨年、自宅の買い手を見つけることをほぼあきらめかけていたとき、自宅アパート前に止まったミニバンから、中国人家族4人が降り立った。その翌日、バシリスさんはオファーを受けたという。
「彼らが内見したのは一度だけ。頭金を支払ってもらい、売却手続きが始まった」
バシリスさんは2007年、将来有望なイェラカス郊外の物件を32万ユーロで購入した。その後、成人した子ども2人にそれぞれアパートを買ってやるため、自宅の売却を決めたという。バシリスさんは中国人家族に22万ユーロで自宅を売った。
ギリシャ中央銀行のデータによると、不動産価格は第2・四半期に前年同期比で0.8%上昇。第1・四半期は0.1%の上昇で、2008年以降で初めて上昇に転じた。
不動産向け海外直接投資は昨年、前年に比べ91%増加して2億8700万ユーロに達した。一方、ギリシャ税務当局のデータによると、不動産販売からの税収は今年1─7月に年率41%増加して、2億0470万ユーロに上った。
「電話による問い合わせが増えている」と、アテネ不動産協会のレフテリス・ポタミアノス会長は言う。同協会には約3000の仲介業者が加盟している。「圧倒的多数は外国人だが、ギリシャ人もいる。群を抜いているのは間違いなく中国人だ」
今年と来年にアテネ圏の住宅価格は年平均5─7%上昇すると、同氏は予想する。