最新記事

ブレグジット

イギリスのEU離脱、今後の展開は? 結末を占う「3つのシナリオ」

2018年11月14日(水)15時45分

(2)土壇場で合意

複数のEU外交筋は、ブレグジットに関してはほぼ合意ができていると話す。ただし英国とアイルランドの国境問題対応計画についての細かい部分ではなお議論が続いている。

あるEU外交筋は「技術的な部分では、離脱協定文書は整っている。しかし英国側の政治的合意がない」と語った。

今月中にEU首脳会議を開いてブレグジットの合意を承認するとすれば、英政府が遅くとも14日中に態度をはっきりさせなければならない、と複数のEU関係者は指摘した。

EUは月内の首脳会議が無理なら、12月13─14日の開催を予定している。英議会は12月20日から休会する。

ゴールドマン・サックスは9日の顧客向けノートに「われわれの基本シナリオでは合意されるのは確実だ。EUと英国が合意に達して移行期間が設定される確率は最低でも70%とみている」と記した。

(3)ブレグジット撤回

英国が混乱に陥れば、もう一度国民投票を実施してブレグジットをやめる可能性が浮上してくる。メイ氏は繰り返し、再投票はないと断言しているのだが。

ジョン・メージャー氏、トニー・ブレア氏、ゴードン・ブラウン氏という元首相3人も、危機打開の道は再投票だと発言している。

世論調査を見ると、英国民の意見はなお割れているものの、サーベイションが実施した最新調査では、より多くの若者などがブレグジット反対に回ると予想され、EU残留派が多数となりそうだ。

再投票を推進する人々の一番の期待は、メイ氏の離脱合意が否決されるとしても、労働党が望む総選挙を防ぐこともできるという点にある。このシナリオに基づけば、議会が2回目の国民投票実施と、投票が可能となるようにリスボン条約第50条の発動を延期することを可決する形になる。

一方ブレグジット推進派は、再投票は憲法運用上の大きな危機を引き起こし、国民の間に混乱を招く恐れがあると主張している。

[ロンドン 12日 ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2018トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

20250408issue_cover150.png
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年4月8日号(4月1日発売)は「引きこもるアメリカ」特集。トランプ外交で見捨てられた欧州。プーチンの全面攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

独2月小売売上は予想超えも輸入価格が大幅上昇、消費

ビジネス

日産とルノー、株式の持ち合い義務10%に引き下げ

ビジネス

米通商政策で不確実性、利下げに慎重になる必要=イタ

ワールド

タイの倒壊ビル、以前から問題指摘 中国国有企業子会
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:まだ世界が知らない 小さなSDGs
特集:まだ世界が知らない 小さなSDGs
2025年4月 1日号(3/25発売)

トランプの「逆風」をはね返す企業の努力が地球を救う

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 2
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者が警鐘【最新研究】
  • 3
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「最大の戦果」...巡航ミサイル96発を破壊
  • 4
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 5
    「炊き出し」現場ルポ 集まったのはホームレス、生…
  • 6
    メーガン妃のパスタ料理が賛否両論...「イタリアのお…
  • 7
    3500年前の粘土板の「くさび形文字」を解読...「意外…
  • 8
    なぜ「猛毒の魚」を大量に...アメリカ先住民がトゲの…
  • 9
    突然の痛風、原因は「贅沢」とは無縁の生活だった...…
  • 10
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 1
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 2
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き詰った「時代遅れ企業」の行く末は?【アニメで解説】
  • 3
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 4
    【独占】テスラ株急落で大口投資家が本誌に激白「取…
  • 5
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥ…
  • 6
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 7
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 8
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中…
  • 9
    「テスラ離れ」止まらず...「放火」続発のなか、手放…
  • 10
    「この巨大な線は何の影?」飛行機の窓から撮影され…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 3
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 6
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 7
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 8
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 9
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」…
  • 10
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中