APEC執務室に乱入した中国代表──国際スタンダードなど守るはずがない
10月16日のコラム<日本は中国との闘い方を知らない>で詳述したように、1992年の天皇訪中を促す江沢民は、天皇訪中が実現しさえすれば今後は二度と歴史カードを使わないと誓いながら、天皇訪中によって西側諸国の天安門事件に対する経済封鎖が解除されると、たちまち掌を返して愛国主義教育(1994年)によって反日教育(1995年)を徹底し始めた。
今度は、「一帯一路」に日本を誘い込むことによって西側諸国の「一帯一路」に対する不信感を薄め、アメリカを凌駕した世界制覇を習近平は目論んでいる。日本はその中国に、又しても手を貸しているのである。
引き戻ることはできない道を安倍首相は選んでしまったようだが、それでも今からでも遅くない。APECにおける、このたびの中国代表団の乱入を冷静に見つめて、日本の長期的な国益に沿った道を選ぶようにしてほしいと、今でも望む。
[執筆者]遠藤 誉
1941年中国生まれ。中国革命戦を経験し1953年に日本帰国。東京福祉大学国際交流センター長、筑波大学名誉教授、理学博士。中国社会科学院社会科学研究所客員研究員・教授などを歴任。著書に『毛沢東 日本軍と共謀した男』(中文版も)『チャイナ・セブン <紅い皇帝>習近平』『チャイナ・ナイン 中国を動かす9人の男たち』『ネット大国中国 言論をめぐる攻防』など多数。
※当記事はYahoo!ニュース 個人からの転載です。