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イーロン・マスク 天才起業家の頭の中イーロン・マスク、和解後に証券取引委員会を「空売り強化委」と揶揄

10月4日、米電気自動車大手テスラのイーロン・マスク最高経営責任者(写真)は、連邦地方裁判所が同氏と証券取引委員会(SEC)に共同文書の提出を要請した数時間後、ツイッターでSECをやゆするコメントを投稿した。米カリフォルニア州で2012年6月撮影(2018年 ロイター/Noah Berger)
米電気自動車大手テスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)は4日、連邦地方裁判所が同氏と証券取引委員会(SEC)に共同文書の提出を要請した数時間後、ツイッターでSECをやゆするコメントを投稿した。
SECはマスク氏が株式の非公開化計画に触れた8月7日のツイッター投稿を巡り、同氏を提訴していたが、9月29日に和解で合意。これについて、ニューヨーク州南部地区連邦地裁のアリソン・ネイサン判事は10月11日までに、合意内容が公正かつ妥当であり公益を損なわない理由を説明する文書提出を求めた。判事によると、これは通常の手続きだという。
この後、マスク氏はツイッターで「『空売り筋・強化・委員会』(Shortseller Enrichment Commission、SEC)は驚くべき仕事をしている」と述べ、「名称変更は実に適切だ」と皮肉った。同氏は、テスラ株の下落を見込む投資家に対ししばしば批判的なコメントをしている。
テスラとマスク氏は9月29日、それぞれ罰金2000万ドルを支払うことに同意し、マスク氏が会長職を辞任することを発表した。CEO職にはとどまる。テスラは、不正に関して処分を受けたわけではない。
ミシガン大学の法律学教授でSECの元弁護士であるアダム・プリチャード氏は、ネイサン判事の要請について「CEOが口を閉じる時が分かっていないからといって、なぜテスラが罰金を払わなければならないのかを知りたいのではないか」と述べた。
テスラはコメントを控えた。SECは、地裁の命令とマスク氏のツイートに関する取材に応じていない。
テスラの株価は4.4%安の281.83ドルで終了。引け後、マスク氏のツイート投稿後に2.2%下落した。
連邦判事の一部には、SECによる和解を安易に承認するだけの存在とみなされていることに不満を持つ向きがある。ジェド・ラコフ判事は、訴えられた企業が、マスク氏が行ったような不正を否定も肯定もせずに和解することを認めるSECの従来からの方針に異論を唱えている。
ただ2014年には、シティグループとSECの2億8500万ドルでの和解をラコフ判事が却下した判断に対し、第2巡回控訴裁判所はこれを覆した上で、規制当局へ「著しい敬意」を払うべきだったとした。
法曹界では、ネイサン判事の要請はそれほど一般的とは言えないものの、マスク氏とSECの合意は最終的に承認される可能性が高いとの見方が多い。

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