第4次安倍内閣がスタート 目玉の「加藤・甘利」ラインでダブル選の思惑も
10月2日、安倍首相(写真)が行った内閣改造と自民党役員人事は、留任する主要閣僚と党三役が多く、手堅さを前面に押し出している。首相官邸で撮影(2018年 ロイター/Issei Kato)
安倍晋三首相が2日に行った内閣改造と自民党役員人事は、留任する主要閣僚と党三役が多く、手堅さを前面に押し出している。ただ、詳細に点検すると、目に付くのは安倍首相の憲法改正に対する強い執念だ。
その政策実現のカギを握るのが、首相側近の加藤勝信総務会長と甘利明選挙対策委員長の2人であるとの見方が自民党内に広がっている。また、来夏の衆参ダブル選を想定する声も出始めた。
今回の人事の「目玉」について、ある与党関係者は「加藤・甘利両氏の重視だろう」と解説する。そこから浮かび上がるのは、安倍首相の憲法改正にかける思いの強さだという。
自民党の憲法改正推進本部長には、首相側近の下村博文・元文部科学相を起用し、同党の改憲案とりまとめの際に、安倍首相の意向が反映されやすい布陣を敷いた。
さらに自民党案として正式決定する際の「関門」となる総務会の議事運営をリードする総務会長に加藤氏を任命した。
ある経済官庁幹部は「やはり首相が最もやりたい政策は改憲(実現)なのだろう」との感想を漏らした。
加藤総務会長は2日の自民党新役員・共同記者会見で「自民党は国民政党だ。国民の意見をそれぞれの議員が政策に反映させ、党で活発な議論をし、決める時には結論を出す」と強調。
党内の憲法改正議論について、3月の党大会で条文素案をまとめた「改憲4項目」を引き合いに「各党への(協議の)呼びかけと並行して、党憲法改正推進本部で議論を深めることになるのだろう。安倍首相の指示を踏まえながら議論が深まっていく。関心を持って注目する」と述べた。
複数の与党関係者は、憲法改正がデフレ脱却、拉致問題解決と並ぶ安倍政権の3本柱であり、政権の求心力を維持していくため、その旗を掲げ続ける必要があると解説する。
ただ、連立与党・公明党の山口那津男代表は9月30日の党大会で、憲法9条改正について「緊急になされるべきとは、必ずしもいえない」と表明した。
公明党が積極姿勢に転じないまま、臨時国会で改憲案の審議を進めていくことは「かなり難しいだろう。改憲の早期実現は、相当にハードルが高い」(別の与党関係者)との見方が少なくない。