第4次安倍内閣がスタート 目玉の「加藤・甘利」ラインでダブル選の思惑も
一方、甘利選対委員長に対しては、来年4月の統一地方選、夏の参院選を重視し、「必勝態勢」を取ったとの受けとめ方が多い。
9月30日投開票の沖縄県知事選で、与党系候補が8万票余りの大差で敗れ、自民党内では来夏の参院選で焦点となる「1人区」の動向が読みづらくなったとの観測が台頭。さらに6年前は、安倍政権の再登場直後の「ブーム」もあり、自民党に強い追い風が吹いていた。それらを勘案すると、大物・甘利氏の実行力で、選挙態勢を強化する必要があったとみられている。
ただ、自民党内では、来年10月実施予定の消費税10%への引き上げが、与党に不利に働くのではないかとの懸念も少なくない。このため、リフレ政策を強く支持する議員などを中心に「増税再延期とセットで、衆参同日選挙を行うのではないか」(別の与党関係者)との観測も絶えず、甘利選対委員長の人事によって、そうした見方が増幅される可能性もある。
他方、今回の内閣改造・党役員人事では、安倍色が当初の想定よりも弱くなったのではないかとの分析もある。
複数の与党関係者によると、一時は「甘利政調会長」説も流れていたという。しかし、岸田文雄氏の続投に落ち着いたのは、自民党総裁選で石破茂・元幹事長が地方票の45%を獲得。安倍首相が「安全運転」志向に傾いた結果ではないかとの受け止めも出ている。
また、総裁ポストを争ったグループに、人事で配慮する必要はないとの声が安倍首相を支持する派閥から出ていたとされるが、結果的には石破派から山下貴司法務政務官を法相に起用した。
今回の改造人事では、安倍内閣として最多の12人が初入閣となった。入閣適齢期とされる衆院当選5回以上、参院当選3回以上で閣僚経験のない「待機組」が80人程度いるなかで、閣僚になれなかった議員の不満を最小化するため、初入閣を増やさざるを得なかったとの評価が、自民党内では多い。
10月下旬には臨時国会が召集される予定で、野党側は9月26日の日米首脳会談で決まった新日米通商交渉の開始を巡り、政府の主張に矛盾点があるのではないかと「手ぐすね」を引いて待ち受けている。
改造後の新メンバーは、早速、その真価を問われることになりそうだ。
(竹本能文※)
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