最新記事

日本経済

飲料自販機「冬の時代」──物流コスト高にコンビニコーヒーの人気 衰退回避へAI投入も

2018年9月28日(金)14時05分

9月28日、飲料各社の自販機ビジネスに逆風が吹いている。写真は都内の自動販売機。2014年2月撮影(2018年 ロイター/Yuya Shino)

飲料各社の自販機ビジネスに逆風が吹いている。コンビニエンスストアやドラッグストアなどに押されて構造的な縮小傾向が続く中、1台あたりの売上高も減少している。

今年はさらに人手不足や物流コスト高、自販機の主力商品である缶コーヒー不振なども直撃。定価販売で利益率が高い優良な販売ルートである自販機ビジネスをどう守るか―――。AI(人工知能)搭載の新型機開発や優良立地の争奪戦など各社の動きが加速している。

缶コーヒー不振が追い討ち

サントリー食品インターナショナル の⼩郷三朗社長は、足元の自販機ビジネスについて「トリプルパンチだ」と話す。トリプルパンチとは、1台あたりの売り上げ(パーマシン)減少、人件費や物流費などのコスト高、そして缶コーヒーの不振だ。

自販機販売比率が83%と高いダイドードリンコの髙松富也社長も、ドラッグストアの食品取り扱い拡大に対応して、コンビニで缶コーヒーなど飲料の安売りが広がっており、「収益環境はより厳しくなっている」と振り返る。

1―6月期の清涼飲料出荷数量は2%増で過去最高となった。コンビニやスーパーなどのチャネルで販売数量が増加したためだが、自販機は3%減と落ち込んだ。

日本自動販売システム機械工業会によると、2017年末の飲料自販機の普及台数は244万3800台で前年比1.2%減少した。飲料各社が台数増よりも質重視に転換したため、稼働台数が3年連続で減少するなか、何とか踏みとどまっていたパーマシンが、17年には減少に転じた。

加えて、今上期は缶コーヒーの不振が追い討ちを掛けた。サントリー食品が昨年売り出したペットボトルコーヒー「クラフトボス」が大ヒット商品となり、コンビニの入れたてコーヒーやボトル缶コーヒーへと流出してきた缶コーヒー需要が一段と縮小した。缶コーヒーは、最も利益率が高く、自販機販売の40%を占める主力商品だけに、自販機の不振に直結した。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

商船三井の今期、純利益を500億円上方修正 市場予

ビジネス

午前の日経平均は続伸、米株高の流れを好感 徐々に模

ワールド

トランプ氏「BRICS通貨つくるな」、対応次第で1

ワールド

米首都の空中衝突、旅客機のブラックボックス回収 6
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプ革命
特集:トランプ革命
2025年2月 4日号(1/28発売)

大統領令で前政権の政策を次々覆すトランプの「常識の革命」で世界はこう変わる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    「DeepSeekショック」の株価大暴落が回避された理由
  • 4
    今も続いている中国「一帯一路2.0」に、途上国が失望…
  • 5
    東京23区内でも所得格差と学力格差の相関関係は明らか
  • 6
    ピークアウトする中国経済...「借金取り」に転じた「…
  • 7
    「やっぱりかわいい」10年ぶり復帰のキャメロン・デ…
  • 8
    DeepSeekショックでNVIDIA転落...GPU市場の行方は? …
  • 9
    空港で「もう一人の自分」が目の前を歩いている? …
  • 10
    フジテレビ局員の「公益通報」だったのか...スポーツ…
  • 1
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 2
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 3
    世界初の研究:コーヒーは「飲む時間帯」で健康効果が異なる【最新研究】
  • 4
    「DeepSeekショック」の株価大暴落が回避された理由
  • 5
    緑茶が「脳の健康」を守る可能性【最新研究】
  • 6
    DeepSeekショックでNVIDIA転落...GPU市場の行方は? …
  • 7
    血まみれで倒れ伏す北朝鮮兵...「9時間に及ぶ激闘」…
  • 8
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のア…
  • 9
    今も続いている中国「一帯一路2.0」に、途上国が失望…
  • 10
    煩雑で高額で遅延だらけのイギリス列車に見切り...鉄…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のアドバイス【最新研究・続報】
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀…
  • 5
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 6
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 7
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 8
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
  • 9
    中国でインフルエンザ様の未知のウイルス「HMPV」流…
  • 10
    失礼すぎる!「1人ディズニー」を楽しむ男性に、女性…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中