飲料自販機「冬の時代」──物流コスト高にコンビニコーヒーの人気 衰退回避へAI投入も
働き方改革も影響
また、固定客があったオフィスの飲料自販機も、喫煙者減少によるたばこ部屋の減少や働き方改革による残業減、テレワークの拡大などが逆風に働く。
こうした傾向がくっきり現れたのがコカ・コーラ ボトラーズジャパンホールディングスの1―6月期決算。同社は、缶コーヒー、ボトル缶コーヒーが自販機に占める割合が80%と高く、自販機チャネルでの販売数量が前年同期比6%減と大きく落ち込んだ。「クラフトボス」のヒットに対し、同じくペットボトルコーヒーの「ジョージアジャパンクラフトマン」の投入が遅れたためだ。
吉松民雄社長は「想定している以上に缶からペットボトルに移行している」と振り返り「抱えている自販機の不振は、コーヒーカテゴリーが全てであり、それを解決することが近道だ」と話す。
飲料総研(東京都新宿区)によると、2017年末の自販機稼動台数は、コカ・コーラグループが79万台、サントリーが43万6000台、アサヒ飲料が28万6000台、キリンビバレッジが22万3000台。全国で5万5000店舗のコンビニ店舗網と比べても、台数の多さは目を引く。
自販機は年中無休の優良販売店
コンビニやドラッグストア、EC(電子商取引)など販売チャネルの多様化により、2001年には39%あった飲料の自販機販売比率は、17年には28%にまで低下した。しかし、自販機チャネルの販売数量の減少に対して、自販機台数が大きく減少しなかったのは、飲料メーカーにとって外すことのできない販路となっているためだ。
キリングループの清涼飲料会社、キリンビバレッジの自動販売機事業を担うキリンビバレッジバリューベンダー(東京都中野区)の村山浩義・営業企画部長は「自販機は、キリンが売りたいブランドを24時間、年中無休で売ってくれる言わば販売店として位置付けられる。自社ブランドを育成でき、価格も比較的崩れいていないので、きちんとフィーが入ってくる」と話す。
飲料総研の宮下和浩取締役は、清涼飲料業界は「利益率の高い自販機で利益を得て、量販店の大型ペットボトルの安売りの原資にする、というビジネスモデルだ」と指摘する。