最新記事

東京五輪

サマータイム導入、企業の7割が反対「五輪の暑さ対策は競技時間変更で!」

2018年9月14日(金)11時58分

9月14日、安倍首相が検討を指示しているサマータイムの導入について、企業の7割超が反対していることが明らかとなった。7月撮影(2018年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)

安倍首相が検討を指示しているサマータイムの導入について、企業の7割超が反対していることが明らかとなった。システムや制度変更に伴うコストに対し、メリットが不明なためだ。多くの企業が、オリンピックの暑さ対策であれば、競技時間の変更で十分で、企業自身も必要なら始業時間を早めて対応できると考えている。

この調査は、8月29日から9月10日にかけて実施。資本金10億円以上の中堅・大企業482社に調査票を送付。回答社数は240社程度。

サマータイム導入に賛成する企業は全体の26%。ただし、2020年のみの実施に賛成している企業が9%あり、毎年実施することに賛成している企業は17%と2割に満たない。

賛成の理由としては「暑さの軽減」を挙げた企業が30%、「時間の有効活用」も30%を占めた。「省エネにつながる」が16%、「消費増など経済効果」も16%だった。

「年々、日中の最高温度が高くなり、導入は必要」(機械)、「空調、照明などエネルギー節約効果が大きい」(卸売)との前向きの評価がある。

反対は74%。理由として「国民生活に混乱」が34%、「コンピュータシステムの改修負担」が32%を占めた。このほか「長時間労働を助長」が17%、「健康への悪影響」も11%となった。

「オリンピック対策なら、競技時間を早めればいいだけで、国民全体に強いるのはおかしい」(紙パルプ)との声が多い。業務への支障やシステム変更のコスト、国民生活の混乱への不安も多くの企業が指摘、「導入コストが膨大な割に、メリットが不透明」(輸送用機器)とみている。「国にコスト意識がなさすぎる」(金属製品)、「働き方の多様化に逆行している」(小売)との批判もある。

暑さ対策といっても、最近は早朝から晩まで気温も湿度も高くなる傾向があり、「高温多湿の日本には馴染まない」(多くの企業)との指摘もあった。

(中川泉 編集:石田仁志)

[東京 14日 ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2018トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

20250318issue_cover150.png
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年3月18日号(3月11日発売)は「日本人が知らない 世界の考古学ニュース33」特集。3Dマッピング、レーダー探査……新しい技術が人類の深部を見せてくれる時代が来た

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

NATOのウクライナ巡る行動に「核紛争リスク」、ロ

ビジネス

トランプ氏、4月2日の相互関税発動に変更なし

ビジネス

米2月の卸売物価は前月比横ばい、関税措置が今後影響

ワールド

トランプ氏「ロシアの正しい対応に期待」、ウクライナ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本人が知らない 世界の考古学ニュース33
特集:日本人が知らない 世界の考古学ニュース33
2025年3月18日号(3/11発売)

3Dマッピング、レーダー探査......新しい技術が人類の深部を見せてくれる時代が来た

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦している市場」とは
  • 2
    【クイズ】世界で1番「石油」の消費量が多い国はどこ?
  • 3
    【クイズ】アメリカを貿易赤字にしている国...1位は中国、2位はメキシコ、意外な3位は?
  • 4
    白米のほうが玄米よりも健康的だった...「毒素」と「…
  • 5
    SF映画みたいだけど「大迷惑」...スペースXの宇宙船…
  • 6
    【クイズ】ウランよりも安全...次世代原子炉に期待の…
  • 7
    「若者は使えない」「社会人はムリ」...アメリカでZ…
  • 8
    うなり声をあげ、牙をむいて威嚇する犬...その「相手…
  • 9
    「トランプの資産も安全ではない」トランプが所有す…
  • 10
    「紀元60年頃の夫婦の暮らし」すらありありと...最新…
  • 1
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやステータスではなく「負債」?
  • 2
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦している市場」とは
  • 3
    【クイズ】アメリカを貿易赤字にしている国...1位は中国、2位はメキシコ、意外な3位は?
  • 4
    メーガン妃が「菓子袋を詰め替える」衝撃映像が話題…
  • 5
    うなり声をあげ、牙をむいて威嚇する犬...その「相手…
  • 6
    白米のほうが玄米よりも健康的だった...「毒素」と「…
  • 7
    「これがロシア人への復讐だ...」ウクライナ軍がHIMA…
  • 8
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」…
  • 9
    【クイズ】ウランよりも安全...次世代原子炉に期待の…
  • 10
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアで…
  • 1
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」ワケ
  • 2
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 3
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 4
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 5
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 6
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 7
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 8
    【クイズ】アメリカを貿易赤字にしている国...1位は…
  • 9
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン…
  • 10
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中