スマホから飛び出す韓国ウェブトゥーン 大ヒット映画や銀行アプリ、さらには日本進出まで
ネイバーは韓国のポータルサイトでウェブトゥーンを多く抱えているので映像化された作品も多いのだが、専門の会社を作ってしまおうという発想がなんとも韓国らしい。鳴り物入りで登場したスタジオN、その代表取締役に任命されたのはクォン・ミジョン氏。元CJ E&M韓国映画事業本部長だった大物だ。CJ制作の韓国映画を観ているとオープニングに彼女の名前を見たことがある人も多いだろう。これまで「国際市場で逢いましょう」「ベテラン」など観客動員1000万人突破作品も多く携わってきたクォン氏だけに、大衆が求める映画の原作を発掘し映像化していくだろうと期待されている。
ネイバーウェブトゥーン代表取締役キム・ジュング氏は「映像化されることで原作漫画家が持続的に作品作りをしていける環境になるだろう」と期待を語った。ネイバーウェブトゥーンは現在2000タイトル以上のオリジナル漫画を保有しており、多様なジャンルと2200万人以上の読者がいる。海外を含めると読者の数は4600万人に上るそうだ。今後、国内での成功例を重ねてウェブトゥーン原作の映画をグローバル展開させていくことに韓国の映画人らは期待を寄せている。
銀行、通信会社もウェブトゥーンへ触手
ウェブトゥーンの人気はとどまることなく、なんとウリ銀行までもがウェブトゥーン事業に乗り出した。銀行が専門のコンテンツに直接投資しサービスを開始するのは異例のことで大きな注目を集めている。銀行のアプリ内にウェブトゥーンのサービスがあり現在30を超える作品が連載中だ。漫画の続きが見たいためアプリに接続し、ついでに銀行の口座やその他のニュースなどもチェックして欲しいという考えだ。銀行と漫画と聞くと全く正反対な感じを受けるが、ウリ銀行はウェブトゥーンを通じて顧客と近づきたいと考えている。昔、よく行く食堂の棚に漫画本が置いてあり、漫画の続きが読みたいがためについついその食堂に通ってしまった経験があるが、それと同様な考えかもしれない。
一方、大手通信会社KTは、すでにウェブトゥーンを原作として映画のグローバル展開を実現させようとしている。KTが運営しているウェブトゥーン会社ケイトゥーンは、今年4月に香港の映画会社LAN KWAI FONG映画社と手を組み、まずは人気漫画5作の映像化について契約した。LAN KWAI FONG映画社は制作会社としてすでにハリウッド進出の実績があり、KTはこれを足掛かりに、いずれアメリカにも進出していきたいと考えているようだ。