最新記事

アメリカ政治

トランプ、大統領のまま訴追や弾劾可能か? 口止め料指示証言で

2018年8月24日(金)08時56分

 8月22日、トランプ米大統領(写真)の元顧問弁護士マイケル・コーエン被告が、2016年の大統領選中にトランプ氏の指示で2人の女性に口止め料を支払ったと連邦地裁で証言したことにより、米大統領の訴追は可能なのか。そして、どのような弾劾手続きを取り得るのだろうか。写真はウエストバージニアで21日撮影(2018年 ロイター/Leah Millis)

トランプ米大統領の元顧問弁護士マイケル・コーエン被告は、2016年の大統領選中にトランプ氏の指示により、同氏との不倫関係を主張した2人の女性に口止め料を支払った、とニューヨーク連邦地裁で21日証言して司法取引を行った。

トランプ氏は22日、コーエン氏が認めた選挙資金関連の違反は「犯罪ではない」とツイッターで主張。トランプ氏の弁護士であるルディー・ジュリアーニ氏は、支払いは個人的な性質のものであり、選挙とは無関係だと述べた。

米大統領の訴追は可能か。そして、トランプ氏に対してどのような弾劾手続きを取り得るのかについて、以下にまとめた。

●現職の米大統領を訴追することは可能か

米合衆国憲法はこの問題に言及していない。多くの法律専門家はこれまで、現職大統領を起訴することは不可能であり、大統領が犯罪を犯した場合の適切な手段は弾劾だと述べている。憲法は、反逆、収賄、その他「重大な犯罪および非行」について大統領を弾劾することができると規定している。

米最高裁は、現職大統領を刑事訴追することの可否について判定を下したことがない。ただ、司法省は2000年の覚書で、刑事訴追手続きは大統領の職務遂行能力を妨げるため許容できないと結論付けている。

誰もが法の下にあるとして、現職大統領であっても起訴は可能とする専門家もいる。

●弾劾手続きはどのようなものか

手続きは議会下院から始まる。個々の議員が通常の法案と同様に弾劾決議を提出するか、下院が音頭を取り、捜査権限付与の決議を可決する。

弾劾は下院で単純過半数の賛成によって可決される必要があるが、大統領を更迭するには、さらに上院で3分の2以上の賛成が必要とされる。

これまで1868年にジョンソン、1998年にクリントン元大統領が弾劾された例があるが、更迭には上院の支持が得られず、2人とも職にとどまった。

弾劾かつ更迭された場合、次期大統領選までの間は副大統領が職を受け継ぐ。

●選挙資金関連法の違反で弾劾は可能か

トランプ大統領がコーエン氏に違法な選挙資金使用を支持した疑惑に基づき、大統領の弾劾が可能かどうかについて、法律専門家の見方は分かれている。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

イスラエル首相らに逮捕状、ICC ガザで戦争犯罪容

ビジネス

米中古住宅販売、10月は3.4%増の396万戸 

ビジネス

貿易分断化、世界経済の生産に「相当な」損失=ECB

ビジネス

米新規失業保険申請は6000件減の21.3万件、4
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:超解説 トランプ2.0
特集:超解説 トランプ2.0
2024年11月26日号(11/19発売)

電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対する中国人と日本人の反応が違う
  • 2
    Netflix「打ち切り病」の闇...効率が命、ファンの熱が抜け落ちたサービスの行く末は?
  • 3
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 4
    【ヨルダン王室】生後3カ月のイマン王女、早くもサッ…
  • 5
    NewJeans生みの親ミン・ヒジン、インスタフォローをす…
  • 6
    元幼稚園教諭の女性兵士がロシアの巡航ミサイル「Kh-…
  • 7
    ウクライナ軍、ロシア領内の兵器庫攻撃に「ATACMSを…
  • 8
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 9
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 10
    若者を追い込む少子化社会、日本・韓国で強まる閉塞感
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査を受けたら...衝撃的な結果に「謎が解けた」
  • 3
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り捨てる」しかない理由
  • 4
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 5
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 6
    アインシュタイン理論にズレ? 宇宙膨張が示す新たな…
  • 7
    沖縄ではマーガリンを「バター」と呼び、味噌汁はも…
  • 8
    クルスク州の戦場はロシア兵の「肉挽き機」に...ロシ…
  • 9
    メーガン妃が「輝きを失った瞬間」が話題に...その時…
  • 10
    中国富裕層の日本移住が増える訳......日本の医療制…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大きな身体を「丸呑み」する衝撃シーンの撮影に成功
  • 4
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 5
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 6
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 7
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 8
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
  • 9
    モスクワで高層ビルより高い「糞水(ふんすい)」噴…
  • 10
    ロシア陣地で大胆攻撃、集中砲火にも屈せず...M2ブラ…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中