「ワシントンとNYを核攻撃したい」北朝鮮エリートがホンネ激白
かと思えば、体制への不満も漏らしている。特に国内の移動禁止について、次のように語っている。
「今でも自由に行き来するのは大変だ。地方から平壌へは行けない。通行証が必要だ。しかし、そういうものを全部廃止して中国のように公民証(IDカード)さえあればどこでも行けるように、条件なしでそうしてほしい。われわれにも間違っていることはある」
総合的に言って、彼の主張も、自由な言論のひとつの形である。米国に核爆弾を落とせという主張は受け入れられないにせよ、こうした言論が北朝鮮国内で自由に交わされるようになれば、あの国は変わる。そうした変化の芽をつぶす役割を担う要員の中に、すでに自由な言論が芽生えているところに、わずかながら変化の可能性を感じる。
[筆者]
高英起(デイリーNKジャパン編集長/ジャーナリスト)
北朝鮮情報専門サイト「デイリーNKジャパン」編集長。関西大学経済学部卒業。98年から99年まで中国吉林省延辺大学に留学し、北朝鮮難民「脱北者」の現状や、北朝鮮内部情報を発信するが、北朝鮮当局の逆鱗に触れ、二度の指名手配を受ける。雑誌、週刊誌への執筆、テレビやラジオのコメンテーターも務める。主な著作に『コチェビよ、脱北の河を渡れ―中朝国境滞在記―』(新潮社)、『金正恩 核を持つお坊ちゃまくん、その素顔』(宝島社)、『北朝鮮ポップスの世界』(共著、花伝社)など。近著に『脱北者が明かす北朝鮮』(宝島社)。