トランプのエネルギー輸出構想に暗雲 貿易戦争で中国がLNG狙い撃ち
国際エネルギー機関(IEA)の石油産業・市場部門責任者ニール・アトキンソン氏は、中国は報復関税の影響で米国からの輸入が減った場合、サウジアラビアやロシア、アラブ首長国連邦(UAE)、イラクなどからの購入を拡大する公算が大きいと予想した。米国に代わって中国に販売を持ちかける国が出てくるため、中国は穴埋めが可能になるという。
米国では今後1年─1年半で需要が急拡大すると見越して、なお25社前後が新たなLNG輸出ターミナル建設を目指している。ただ関税問題でこれらの企業は、建設計画のための資金調達に必要な十分な買い手の確保という面で制約を受けるかもしれない。
現在米国内で稼働する2つの輸出ターミナルのうちの1つを保有する米LNG大手シェニエール・エナジーの広報担当者は「当社は引き続き中国を、成長市場で米国とウィンウィンの関係にある存在と考える」と強調し、関税は生産的ではないと付け加えた。
アラスカ州では全長800マイル(1287キロ)のパイプラインを通じて天然ガスをターミナルまで移送し、そこでLNGにして中国に輸出する総額430億ドルのプロジェクトが進行中だ。
これを手掛けるアラスカ・ガスライン・デベロップメントは3日、実際にアラスカのLNGが中国に輸出できるようになる前に米中貿易摩擦が解決されると信じていると期待を表明した。
(Scott DiSavino、Chen Aizhu記者)
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