打倒ECの巨人アマゾン 実店舗持つウォルマートが挑むラストマイル配送の壁
買い物需要を喚起するため、50ドル以上の購入であれば初回配達料金は無料。ウォルマートのスマートフォン用アプリによれば、その後の注文については、最低30ドルの購入に対して7.99─9.95ドルの料金で宅配サービスが提供される。
現在、男性3人、女性1人で構成される「アソシエイト宅配2.0」の業務は個別に行われており、自分の車に商品を積んで、10マイル以内の購入客に配達している。
このうちの1人、モーリス・トーマスさんは、ウォルマートの新たな試みの典型例だ。配送ドライバーと店員の二役をこなすトーマス氏の役割は、この試みを復活させるために新たに創り出されたものだ。
トーマスさんは3年前、荷降ろし係として採用された。現在は自分自身の車を使って、ガソリン代や保険も自己負担で、毎日6─7個の荷物を購入者の家に配達している。
「スケジュールが決まっており、トラックからの荷降ろし業務よりもはるかにいい」と28歳のトーマスさんは言う。
トーマスさんによれば、ウォルマートから時給12ドル50セントに加え、1マイルあたり54.5セントの燃料費補助を受けているという。2018年の燃料費補助の全国基準と同じ額だ。彼が配達のため1時間以内に10マイル運転するならば、1時間あたりの稼ぎは18ドル30セントになる。
トーマスさんによれば、燃料費の支払い後で、2週間ごとに約130─140ドルが手元に残るのが普通だという。
ウォルマートは、ジョージア州でのプログラムに参加している従業員に対し、自分の自動車保険を使わなければならない、と採用時に伝えている。ただし、従業員の個人保険でカバーできない費用が生じた場合には会社が負担する、と広報担当のブレイクマン氏は語った。
ロイターが閲覧した社内文書によれば、ウォルマートでは配送担当者について特別に新たな業務規定を定めている。そのガイドラインには、「注文を混同しない」や、配達する商品のなかに残す「『サンキュー』カードを確実に準備しておく」といった項目がある。
「アソシエイトを活用する最善の方法を試し、学んでいるところだ」同社広報担当のグレッグ・ヒット氏は話す。「試行プログラムを実施するだけの理由はある」
(翻訳:エァクレーレン)
[イーストブランズウィック(ニュージャージー州) 30日 ロイター]
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