オウム死刑執行を支持する中国政府の狙いは、法輪功弾圧の正当化か
2015年7月に300人ほどの人権派弁護士が一斉拘束され、国家政権転覆罪で10人が起訴されたことがある。そのうち唯一生存も不明な王全璋弁護士は、法輪功の学習者の支援をしていて、中国政府が法輪功に関わる人間や団体に厳しく対応していることがわかる。
法輪功の集会や気功実践だけではなく、さらには、法輪功とまったく関わりがなくても、単に検索エンジンで法輪功と検索するだけでも処罰の対象となるくらいなので、誰も話題にできないし、しないのは当然だろう。
密かに活動を続ける法輪功
では、活動していないのかというとそうでもない。たとえば、街中で手のひらサイズの仏像の絵と仏教の文言、QRコード書かれている紙を渡されることがある。これは法輪功グループによる活動だ。
他にも全国的に確認できるのは、1元や10元といった小額紙幣に法輪功の理念を勝手に印字するものがある。真善忍や法輪大法は素晴らしい、共産党は滅びるべし、などの文言を勝手に紙幣に印字して流通させることで、存在をアピールしている。最高額の100元札には印字しないのは、法輪功は庶民の味方というスタンスを示すためとされる。
今回、中国政府は、オウム事件7人の処刑を支持することで、密かに活動を続ける法輪功への弾圧の正当化とその継続への意志を示したといえる。
ちなみに、国際人権団体「アムネスティ」によると、中国は死刑執行件数を国家機密として公開しておらず年間数千件と推測している(2017年の中国や北朝鮮を除く全世界の死刑執行総数は993件)。