最新記事

中国

オウム死刑執行を支持する中国政府の狙いは、法輪功弾圧の正当化か

2018年7月19日(木)17時00分
我妻伊都

2015年7月に300人ほどの人権派弁護士が一斉拘束され、国家政権転覆罪で10人が起訴されたことがある。そのうち唯一生存も不明な王全璋弁護士は、法輪功の学習者の支援をしていて、中国政府が法輪功に関わる人間や団体に厳しく対応していることがわかる。

法輪功の集会や気功実践だけではなく、さらには、法輪功とまったく関わりがなくても、単に検索エンジンで法輪功と検索するだけでも処罰の対象となるくらいなので、誰も話題にできないし、しないのは当然だろう。

密かに活動を続ける法輪功

では、活動していないのかというとそうでもない。たとえば、街中で手のひらサイズの仏像の絵と仏教の文言、QRコード書かれている紙を渡されることがある。これは法輪功グループによる活動だ。

他にも全国的に確認できるのは、1元や10元といった小額紙幣に法輪功の理念を勝手に印字するものがある。真善忍や法輪大法は素晴らしい、共産党は滅びるべし、などの文言を勝手に紙幣に印字して流通させることで、存在をアピールしている。最高額の100元札には印字しないのは、法輪功は庶民の味方というスタンスを示すためとされる。

wagatuma02.JPG

目立たいなデザインで法輪功は素晴らしいなど印字された1元や10元札

今回、中国政府は、オウム事件7人の処刑を支持することで、密かに活動を続ける法輪功への弾圧の正当化とその継続への意志を示したといえる。

ちなみに、国際人権団体「アムネスティ」によると、中国は死刑執行件数を国家機密として公開しておらず年間数千件と推測している(2017年の中国や北朝鮮を除く全世界の死刑執行総数は993件)。
 


今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

OPECプラス8カ国、5月から日量41万バレル生産

ワールド

米関税措置で25年の世界貿易1%減、報復の連鎖を懸

ワールド

米関税「根拠ない」、欧州企業は対米投資中止を=仏大

ワールド

カナダ首相、米に対する限定的な対抗措置発表 トラン
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:引きこもるアメリカ
特集:引きこもるアメリカ
2025年4月 8日号(4/ 1発売)

トランプ外交で見捨てられ、ロシアの攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「最後の1杯」は何時までならOKか?...コーヒーと睡眠の「正しい関係」【最新研究】
  • 2
    アメリカで「最古の銃」発見...いったい誰が何のために持ち込んだ?
  • 3
    【クイズ】日本の輸出品で2番目に多いものは何?
  • 4
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 5
    得意げに発表した相互関税はトランプのオウンゴール…
  • 6
    「ネイティブ並み」は目指す必要なし? グローバル…
  • 7
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 8
    あまりにも似てる...『インディ・ジョーンズ』の舞台…
  • 9
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2…
  • 10
    ベトナム依存、トランプ関税でNIKEなどスポーツ用品…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 2
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大はしゃぎ」する人に共通する点とは?
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 5
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 6
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2…
  • 7
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 8
    あまりにも似てる...『インディ・ジョーンズ』の舞台…
  • 9
    突然の痛風、原因は「贅沢」とは無縁の生活だった...…
  • 10
    なぜ「猛毒の魚」を大量に...アメリカ先住民がトゲの…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 3
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 4
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 5
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 6
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 7
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 8
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアで…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中