【写真特集】写真家たちが映し出した自分自身の「ホーム」
<Photographs by Moises Saman>
私にとってHOMEは、分かりにくい概念だった。私はペルー人とカタルーニャ人の両親の下、ペルーの首都リマで生まれ、すぐにスペインに移住した。
バルセロナ郊外で過ごした10代前半までは、家庭にも学校にも合わせられず、ペルー人としてのルーツにも興味がなかった。さらに、両親の不仲が私を変えてしまった。私は17歳でスペインを去り、アメリカでHOMEのような所を見つけた。それから多くの場所を転々としながら、出身地のことは自分の胸にしまい込んでいた。
写真に出合ったのはその頃だ。写真のおかげで私の目は開き、広い世界と交わることができたが、それは究極の逃避でもあった。周りは似た境遇の友人ばかりで、世界中を旅して道端を住みかにしてきた。HOMEは私の最後の目的地であり、仲間たちが家族だった。
数年前、私は今の妻と出会って一緒にHOMEを探し始めた。これまでにバルセロナと東京、ニューヨークに住まいを持った。それでもやはり、私にとってHOMEは生まれた国ペルーだと思う。この国のことはほとんど知らないが、いつかはそこにHOMEを見つけたい。
──モイセス・サマン
Photographs by Magnum Photos
<本誌2018年7月24日号掲載>
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