最新記事

貿易戦争

中国、エタノールガソリン普及に暗雲 対米摩擦で原料トウモロコシの供給懸念

2018年7月9日(月)18時20分

底をつく備蓄

世界最大の人口を持つ中国は、エタノールを生産するのに十分なトウモロコシを確保しようとすれば、食料供給やトウモロコシ価格に混乱が起きるのではないかとの不安が広がっている。

全国的なエタノール混合ガソリン普及には、中国の年間需要のほぼ4分の1に相当する4500万トン程度のトウモロコシが必要になる。

ところが近年、トウモロコシの国内供給は縮小しており、政府が対米貿易摩擦問題を抱える中で、追加的な需要が生まれた場合のクッションがほとんど存在しなくなっている。

中国は既に全ての輸入エタノールに30%の関税を適用しているため、元来輸入量は微々たるものでしかない。4月には米国からのエタノール輸入に15%の関税を追加し、6日にはさらに25%を上乗せる予定だ。

一方ロイターの計算に基づくと、中国は2億トンのトウモロコシの国家備蓄を何年にもわたって売却してきたことから、来年末には底をつく見通し。政府は18/19年の国内のトウモロコシの供給不足量は、17/18年の640万トンから2000万トンに拡大するとみている。収穫量が2.5%減る半面、需要が伸びるからだ。

Shengda Futuresのアナリスト、Meng Jinhui氏は「国家備蓄がいったん枯渇すれば、自動車燃料用エタノールを生産するための余分なトウモロコシをどうやって入手できるのだろうか」と疑問を投げかけた。

(Hallie Gu、Michael Hirtzer記者)

[北京/シカゴ 5日 ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2018トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

ブラックロック第4四半期、運用資産が過去最高 株高

ビジネス

米Wファーゴ、10─12月期は利益が予想上回る 2

ワールド

武力紛争が最大のリスク=世界経済フォーラム報告書

ワールド

イスラエルとハマス、ガザ停戦で合意=当局者
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプ新政権ガイド
特集:トランプ新政権ガイド
2025年1月21日号(1/15発売)

1月20日の就任式を目前に「爆弾」を連続投下。トランプ新政権の外交・内政と日本経済への影響は?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 3
    ド派手な激突シーンが話題に...ロシアの偵察ドローンを「撃墜」し、ウクライナに貢献した「まさかの生物」とは?
  • 4
    韓国の与党も野党も「法の支配」と民主主義を軽視し…
  • 5
    【随時更新】韓国ユン大統領を拘束 高位公職者犯罪…
  • 6
    中国自動車、ガソリン車は大幅減なのにEV販売は4割増…
  • 7
    メーガン妃のNetflix新番組「ウィズ・ラブ、メーガン…
  • 8
    ロス山火事で崩壊の危機、どうなるアメリカの火災保険
  • 9
    「日本は中国より悪」──米クリフス、同業とUSスチ…
  • 10
    TikTokに代わりアメリカで1位に躍り出たアプリ「レ…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 3
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるようになる!筋トレよりもずっと効果的な「たった30秒の体操」
  • 4
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 5
    ロシア兵を「射殺」...相次ぐ北朝鮮兵の誤射 退却も…
  • 6
    睡眠時間60分の差で、脳の老化速度は2倍! カギは「…
  • 7
    メーガン妃のNetflix新番組「ウィズ・ラブ、メーガン…
  • 8
    トランプさん、グリーンランドは地図ほど大きくない…
  • 9
    装甲車がロシア兵を轢く決定的瞬間...戦場での衝撃映…
  • 10
    古代エジプト人の愛した「媚薬」の正体
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命をもたらす可能性も【最新研究】
  • 3
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 4
    夜空を切り裂いた「爆発の閃光」...「ロシア北方艦隊…
  • 5
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が…
  • 6
    ロシア軍は戦死した北朝鮮兵の「顔を焼いている」──…
  • 7
    TBS日曜劇場が描かなかった坑夫生活...東京ドーム1.3…
  • 8
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中