中国リサイクル業者、廃プラ輸入停止で東南アジアに活路
困難な切り替え
国内廃棄物の利用拡大に向けた、リサイクル業者による取り組みの進捗は遅れている。CSPAのデータによれば、国内供給される廃プラに切り替えることができたのは、国内事業者の5%にすぎない。
「輸入原料の扱いと国内原料の扱いは経路が非常に異なっており、切り替えには時間がかかる」と金輝のホー会長は語る。
政府による停止措置が突然だったため、業界が十分対応できる時間の余裕がなく、通常は小規模な違法事業者が処理する国内廃棄物の扱いを、大規模化や標準化するために必要な政策も、中国ではまだ準備されていないと、リサイクル業者は現況の厳しさを説明する。
輸入原料が最善の選択だと考える事者は、マレーシアやタイといった国に移転することで、処理済みの輸入廃プラを、より品質の高い形で中国に供給できると考えた。だが、そうした出荷は遅れがちだ。
輸入されるペレットが基準を厳密に満たしているか、低品質の廃プラを密輸するためにコンテナが使われていないか、確認するために税関の貨物検査ははるかに厳しくなった、とホー会長は指摘する。
規制拡大の懸念
廃プラの輸出先を東南アジア諸国へシフトすることで、欧州企業にとっては、中国の輸入停止措置が招いた混乱は、ある程度緩和された。
「依然としてかなりの量を輸出しているが、輸出先はこれまでと違う」と語るのは、英国プラスチック事業者連盟のリサイクル部会を率いるドジャー・ベイナム氏だ。
だが、タイやベトナムといった国々に廃プラが蓄積されるなかで、中国のリサイクル事業者はさらなるリスクに直面している。
「廃棄物を引き受けることを、どの国も望んでいない。われわれの業界では、こうした国々も独自の制約を設けるのではないかと懸念している」と中国駐在の海外リサイクル会社幹部は語った。
CSPAによれば、タイは規制強化と輸入関税引き上げを進めており、中国が投資した輸入事者がすでに1社閉鎖を余儀なくされた。マレーシアも5月中旬、新規の輸入許可申請を一時的に停止している。
金輝のホー会長会長は、環境への関心が高まるなかで、東南アジア全域で輸入規制が厳しくなる恐れがあると警鐘を鳴らす。
「中国がこの種の輸入を再開することはありえない」と同会長は言う。「(東南アジアも)国際標準に近づき、規制が厳しくなるだろう」
中国の輸入停止や他の国々による規制強化で、最終的には、廃棄物を排出する国が、自国でリサイクルの取組みを強化するよう迫られる可能性がある、と英プラスチック事業者連盟のベイナム氏は語る。
「皮肉なことに、こうした取り組みに勢いを与えてきたのは、英国のような先進経済ではなく、中国だった。英国はこれまで、リサイクル戦略という点では、免罪符を与えられて安穏としていた」と彼は言う。 「先進国、特に英国は一歩踏み出すべき時が来た」
(翻訳:エァクレーレン)
[太倉(中国) 26日 ロイター]
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