インドネシア、住民死亡の敵討ちでワニ292匹を虐殺 一番怖いのはヒトだった
後を絶たない野生動物による被害 共存が課題
インドネシアでは2016年3月に同じ西パプア州の観光地ラジャ・アンパットの浅瀬でシュノーケリング中のロシア人男性がワニに襲われて死亡したほか、2018年2月にはスマトラ島ジャンビ州の農村で川の近くにでかけた66歳の女性が巨大ワニに襲われて死亡する事件が起きている。さらに2018年3月1日には東カリマンタン州クタイ県の川で男性が行方不明になり、警察官が近くにいた体長約6メートルの巨大ワニを射殺して解体したところ、腹部から男性の遺体の一部が発見されるなど、ワニによる事故は後を絶たないのが現状だ。
インドネシアではこうしたワニによる襲撃の他、巨大なヘビが人を丸呑みするような被害も発生している。
2018年6月14日夜に南東スラウェシ州ケンダリ南方のムナ島で54歳の女性が行方不明になり、家族総出の捜索の結果、腹部の異様に膨れた全長約7メートルのニシキヘビが発見され、捕獲・殺害して解体したところ、腹部からこの女性の遺体が発見され、大きなニュースになった。巨大ヘビ被害はこれまでも複数件報告されており、農村部やジャングルでは特に警戒が必要となっている。
その一方で野生の象やオランウータンが「農地を荒らした」などの理由で射殺や毒殺される事案も起きている。オランウータンは絶滅の危機に瀕した保護動物に指定されており、殺害は違法であり、インドネシアはこのように人間と自然そして動物との「共存関係」が大きな課題となっている。
[執筆者]
大塚智彦(ジャーナリスト)
PanAsiaNews所属 1957年東京生まれ。国学院大学文学部史学科卒、米ジョージワシントン大学大学院宗教学科中退。1984年毎日新聞社入社、長野支局、東京外信部防衛庁担当などを経てジャカルタ支局長。2000年産経新聞社入社、シンガポール支局長、社会部防衛省担当などを歴任。2014年からPan Asia News所属のフリーランス記者として東南アジアをフィールドに取材活動を続ける。著書に「アジアの中の自衛隊」(東洋経済新報社)、「民主国家への道、ジャカルタ報道2000日」(小学館)など
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