マレーシアのナジブ前首相、汚職疑惑で逮捕起訴 有罪なら禁固20年に鞭打ち刑も
7月4日、マレーシアの検察当局は、政府系ファンド「1MDB」からの資金流用疑惑を巡り、ナジブ前首相を起訴した。高等裁判所に入廷するナジブ前首相(2018年 The Star Online / YouTube)
<クアラルンプールを「イスラム系金融界のシティ」にするという触れ込みで政府系ファンドを設立したマレーシアのナジブ前首相。だがそれは彼の汚職の資金源だった>
マレーシアの検察当局は7月4日、ナジブ・ラザク前首相を背任と腐敗防止法違反の容疑で起訴した。前首相は前日3日に自宅でマレーシア汚職対策委員会(MACC)によって逮捕されていた。
MACCや検察当局は、ナジブ前首相が在任中に自ら設立した政府系ファンドの「ファースト・マレーシア・デベトップメント(1MDB)」と元子会社である「SRCインターナショナル」から、2013年に前首相の個人口座に4200万マレーシア・リンギット(約11億5000万円)が不正入金されたことが、背任などに当たるとして逮捕・起訴に踏み切った。
マレーシアで首相経験者が起訴されるのはナジブ前首相が初めてのケースとなる。3件の背任罪と1件の腐敗防止法違反容疑で有罪となれば、ナジブ前首相は最長で20年の禁固刑とむち打ち刑、さらに多額の罰金刑が科される可能性があるという。
4日午前8時過ぎに首都クアラルンプールの初級裁判所に出廷したナジブ前首相は、検察側が罪の重大さを理由に裁判を高等裁判所に送致したことを受けて、同日午前10時半ごろから高等裁判所での罪状認否に臨んだ。
ネクタイ、背広姿のナジブ前首相は報道陣の問いには一切答えず、支援者や親族には笑顔で対応していた。
「マハティール政権の報復」
ナジブ前首相は逮捕された3日夜、用意していたビデオメッセージを発表。その中で「私と家族に関する疑惑は全て事実ではない」と全面的に疑惑を否定するとともに、「これはマハティール政権による政治的な報復であり、法廷で無実を明らかにしていきたい」と、法廷闘争を通じて無実を証明する意向を示した。
マハティール首相は5月9日に実施された総選挙で「腐敗したナジブ政権打倒」を掲げて与党を離脱、自ら率いた野党連合が大勝してマレーシア初の政権交代を実現させた。