最新記事

殺人ゲーム

自殺教唆ゲーム『ブルーホエール』プレイ後、子供2人が自殺 サウジアラビア

2018年7月18日(水)17時20分
ジェイソン・レモン

ゲーム開発者の目的は、多くの子供を集めて弱い者をあぶり出し抹殺することだった DusanManic/iStock.

<昨年、ロシアで130人以上の子供を自殺に追いやったとされる自殺ゲームで子供が相次いで犠牲になった。サウジアラビアはこれを受けて多くの人気ゲームを発禁に>

サウジアラビア政府は、人気ビデオゲームを禁止すると発表した。あるオンラインゲームが原因で、子供2人が相次いで自殺したからだ。

サウジアラビアの視聴覚メディア一般委員会は7月16日、規則や規制に違反しているとして、ビデオゲーム47タイトルを禁止すると発表した。アラブ首長国連邦(UAE)のガルフ・ニュース紙によると、この中には、『アサシン クリードII』や『デッドプール』、『バイオハザード』シリーズの第5作および第6作、『グランド・セフト・オートV』、『ディシディア ファイナルファンタジー』などの著名なゲームが数多く含まれている。

人気ビデオゲームの発禁を報じた地元英字紙  


AP通信によると、ロシア製のオンライゲーム『ブルーホエール(青い鯨)』に参加した10代の子供2人が自殺したことがきっかけだ。もっとも視聴覚メディア一般委員会は、今回禁止されたゲームと『ブルーホエール』の間にどのような関係があるのかは説明しなかった。『ブルーホエール』は参加者に対して自傷行為に始まるさまざまな課題を課し、最終的には自殺を指示することで問題になっている。

ロシアでは130人以上が自殺

サウジアラビアの地元メディアは7月に入り、13歳の少女の死を報じた。この少女は『ブルーホエール』に参加した後、自殺したという。6月には、同じゲームに参加した12歳の少年が、同様に命を絶っている。

地元英字紙サウジ・ガゼットは、『ブルーホエール』は発祥の地ロシアだけでも2013年以降、推定130人以上の参加者を死に追いやったと報じる。子供や10代の若者向けのこのゲームは、参加者に対し、50日間毎日異なる50の課題を達成するよう要求する。課題はすべて危険を伴うもので、自傷行為に始まってさらにリスクが高いものへとエスカレートしていく。そして最後の課題に到達し、ゲームを「クリア」しようとしたときに、ゲームは自殺せよと要求するのだ。

このゲームを開発したのは、ロシアで「自殺グループ」を運営するフィリップ・ブデイキンだ。ブデイキンは2017年7月、若者に対する自殺教唆の罪で有罪判決を受け、3年間の拘禁刑に服している。

ロシアでこの事件の捜査委員会に加わったアントン・ブレイド上級捜査官は、イギリスのメトロ紙に2017年5月に掲載された記事のなかで、「犯人グループの目的は、できるだけ多くの年少者を集め、その中でも最も心理操作の影響を受けやすい層をあぶり出すことだった」と述べている。「ブデイキンは、(自らが望む)結果を得るためにすべきことを、明確に自覚していた」

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

中国副首相が米財務長官と会談、対中関税に懸念 対話

ビジネス

アングル:債券市場に安心感、QT減速観測と財務長官

ビジネス

米中古住宅販売、1月は4.9%減の408万戸 4カ

ワールド

米・ウクライナ、鉱物協定巡り協議継続か 米高官は署
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ウクライナが停戦する日
特集:ウクライナが停戦する日
2025年2月25日号(2/18発売)

ゼレンスキーとプーチンがトランプの圧力で妥協? 20万人以上が死んだ戦争が終わる条件は

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 3
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 4
    飛行中の航空機が空中で発火、大炎上...米テキサスの…
  • 5
    1888年の未解決事件、ついに終焉か? 「切り裂きジャ…
  • 6
    ソ連時代の「勝利の旗」掲げるロシア軍車両を次々爆…
  • 7
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 8
    ビタミンB1で疲労回復!疲れに効く3つの野菜&腸活に…
  • 9
    私に「家」をくれたのは、この茶トラ猫でした
  • 10
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 3
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ...犠牲者急増で、増援部隊が到着予定と発言
  • 4
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン…
  • 5
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 6
    朝1杯の「バターコーヒー」が老化を遅らせる...細胞…
  • 7
    7年後に迫る「小惑星の衝突を防げ」、中国が「地球防…
  • 8
    墜落して爆発、巨大な炎と黒煙が立ち上る衝撃シーン.…
  • 9
    ビタミンB1で疲労回復!疲れに効く3つの野菜&腸活に…
  • 10
    「トランプ相互関税」の範囲が広すぎて滅茶苦茶...VA…
  • 1
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 4
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」…
  • 5
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
  • 6
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」…
  • 7
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 8
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 9
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のア…
  • 10
    世界初の研究:コーヒーは「飲む時間帯」で健康効果…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中