トランプの移民強硬策で、日系人収容所の悪夢がいま甦る
もし両親がいない状態で収容所に入れられていたら、自分の子供時代がどうなっていたか、全く想像できない。このような事態が現在起きていることに、私は怒りと悲しみを覚える。基本的な人間性さえ失ったような政権トップに対する怒りと、影響を受けた家族たちに対する心からの悲しみだ。
政治家たちはどうしたらこんな政策を正当化できるのかと思うが、歴史を顧みれば難しいことではない。真珠湾攻撃を受けてアメリカが戦争へと向かうなか、当時の政権は日本に強硬姿勢で臨むと米国民に示す必要があった。故に米国内の「日本人」に対して強硬姿勢を取った。私たちのほとんどは日本人でさえなかったのに。収容された12万人の日系人の3分の2以上は、アメリカ国籍だった
それでも政府は「ジャップ(日本人の蔑称)はジャップ」という明確な方針を打ち出した。トランプ政権が進めている不法移民摘発の「ゼロ・トレランス(寛容ゼロ)」政策と同じだ。
私たちは再び、収容所とフェンスと人種差別のイメージに自分たちを追い込みつつある。収容所を経験した私は人生を懸けて、アメリカにあのような施設が造られることに反対していく。将来、歴史に書かれるのはかつてのような「服従」の物語ではなく、「抵抗」の物語であってほしい。
(筆者のジョージ・タケイは、カリフォルニア州ロサンゼルス生まれの日系二世。SFドラマシリーズ『スタートレック』のパイロット、ヒカル・スールー役〔日本語吹替版ではカトー[加藤])を演じて人気に。戦時中の1942年、6歳の時に家族で日系人収容所に送られ、その後3年余りの収容所生活を送った)
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