ロヒンギャ難民に迫るコレラと洪水の新たな脅威
ミャンマーのアウンサンスーチー国家顧問は最近、ロヒンギャの大量帰還に向けた準備のために、国連の人権・開発機関の代表の訪問受け入れを表明した。だが人権団体ヒューマン・ライツ・ウォッチのミーナクシュ・ガングリーは、入居施設などのインフラを整備するだけでは帰還は進まないとみている。
ロヒンギャは法的地位と公民権、安全な生活の保障、そして自分たちの家族を殺した兵士らの裁判を求めている。だが虐殺についてはミャンマー軍が内部調査を行い、これまでに兵士7人に懲役7年の刑が下されただけだ。
帰還に代わる措置として、バングラデシュ政府は難民の移送計画を打ち出した。ベンガル湾内の無人島に6月までに10万人を送り込むというのだが、ここは06年に海面から現れたばかりの砂州で、施設が建設されているとはいえ、移送された人々は孤立無援でサイクロンの直撃を受けることになる。
迫りくるモンスーンを前に、援助機関は資金不足に手足を縛られている。3月に発表された先の援助計画書では、今年必要な資金は9億5000万ドルとされているが、これまでに調達できたのはその16%にすぎない。
問題は国際社会の無関心だと、ガングリーは言う。「悲惨な状況を見に来て口先で同情しても、具体的な動きにつながらない。観光気分の視察ツアーはもうたくさんだ。行動を起こしてほしい」
国際社会はロヒンギャを見捨てるのか。もう時間は残されていない。
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[2018年6月12日号掲載]