東京五輪に向け活気付く「ラブ」業界 知られざる日本の魅力アピール
宿泊施設不足解消にラブホテル
一方、東京五輪では、宿泊施設の不足が懸念されている。そこで、日本の悪名高い「ラブホテル」の出番となりそうだ。
日本を訪れる観光客数は、2017年に2869万人と過去最高を記録。日本政府は、2020年までに4000万人に増やす目標を掲げている。観光客の急増に応えるため、政府は、ラブホテルやカプセルホテル、旅館など、一般的なホテル以外の利用を促したい考えだ。
こうした中、日本のラブホテルに関心を持つ観光客が増えている。
インターネット旅行予約のブッキング・ドット・コムによれば、ラブホテルは短時間の滞在も可能で、部屋ごとに内装のテーマが異なっており、入り口は必要上、また好奇心を満足させるよう、目立たない構造になっている。
「異文化への好奇心が、(ラブホテルに向けられた)関心の大きな鍵となっている。多くの人は、単純にどんなものか見たがっている」と、ブッキングの北アジア担当アダム・ブラウンスタインさんは言う。
「自分の国に同じような物が無ければ、体験してみたくなるものだ。それが旅の醍醐味の1つだ。目新しいものを試して、舞台裏をのぞいてみたくなる」
ラブホテルは1時間ごとに予約できるほか、1時間ごとの滞在延長も可能で、プライバシーが確保できる。過去には、性的行為のためだけに利用されることが多かった。
だが、時代は変わりつつある。
ブッキングでは、昨年ラブホテルの予約が48%増加。「日本のすべて」を体験したいと願うラグビーW杯や五輪のファンが増える中で、この傾向は維持される見通しだという。
「ラブホテル業界で面白いのは、とても興味深い設備があることだ。たとえば、外国人に大受けするカラオケ部屋があったり、バーがあったり、家族で滞在できる広い部屋があったりする」と、ブッキングの東京地区マネージャー、ドナ・モリス氏は語る。
「なので、やや意外な客層も泊まることがある」
妻と3人の子供と一緒に最近東京を訪れた米国人のジェローム・デービスさんは、一般的なホテルより部屋が広く、宿泊料金も安いラブホテルを宿泊先に選んだと話す。
「清潔だし、場所もいい。私の家族にぴったりだ」と、4泊予約したホテルの外でデービスさんは話した。「これよりもっとひどい場所に泊まったこともある」
多くの外国人観光客が、安上がりに幅広い体験ができる方法としてラブホテルを選択する中で、デービスさんのような例は珍しくない。
日本が立て続けの開催に向けて準備を進めるスポーツの祭典は、同国にとって大きな挑戦となる一方で、一部企業にとっては世界の舞台でアピールできる、またとない機会となるだろう。
(翻訳:山口香子、編集:下郡美紀)
[東京 26日 ロイター]
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