AKB総選挙がやや強引な世界選抜となった理由と背景
その後、先月30日に発表された中間速報でBNK48から102位チャープラン、120位ミュージック。TPE48は誰も呼ばれなかった。確かにFさんが言った通りのようだ。
ちなみにユーチュブの再生回数の数え方は非公開ではあるが、同じIPアドレスで1日1回と数え、パソコン、スマートフォン、タブレットと端末を変えても同じIPだと1回。1秒でも再生すれば1回とカウントする仕様になっているようだ。そのため、タイのヲタクたちが大量にアクセスしたのだろうと推測できる。
「SNHの反逆」に関係があるのか?
Fさんが台風の目にならないと断言した理由は、投票権獲得のハードルの高さにある。総選挙で投票するための投票権は、指定CDを購入するか、各グループの有料会員になるなどで獲得することができる。ダウンロード版などはなくCDのみで、有料会員は、国内の6グループのみで海外グループは含まれていない。
「わざわざ日本のグループの有料会員になったりするなら応援するBNKなどの応援グッズやコンサートへ行くのではないでしょうか?僕ならそうします(笑)」(Fさん)
ダウンロード版が一般化しているいま、CDのみというのは海外在住者にはハードルが高い。しかも、海外3グループで2011年結成でもっとも歴史があるJKT48は、イスラム教のレバラン(断食明けの休暇)にあたるため参加を辞退している。レバランの日程は決まっているのに、どうして全グループが参加できるスケジュールにしなかったのかという疑問について、前出のFさんは、AKBヲタクたちの間で言われているだけの噂と前置きした上で、
「『SNHの反逆』に関係があると思います。今年中にAKBが上海へ再進出することも発表しているので、ヲタクたちへのアピールと旧SNH運営者たちへのプレッシャーをかけるために、今回やや無理があっても『世界選抜』にしたのだと思います」
SNH48は、中国上海を拠点とするAKBの海外グループとして2013年1月結成されたものの独自運営に走り出し、AKBサイドへの承諾なく北京や広州で姉妹グループを結成。そのため、契約違反として2016年6月にAKBグループから離脱させられたのだ。
この騒動をAKBヲタクたちは、 「SNHの反逆」と呼ぶのだ。その後、瀋陽、重慶、成都にも姉妹グループを誕生させてAKBの歌も無許可で歌い続けているそうで、まさに中国のお家芸のコピー状態なのだ。
契約解除後のSNH48は、中国共産党讃美の歌やナショナリズム色が強い歌などを歌い始め、SNH48のファンたちは、「北朝鮮のモランボン楽団化した」と嘆いていたところで、昨年11月、AKBが1年後をめどに上海再上陸を発表したのだ。
今回の世界選抜が新生SNH誕生へ向けての戦略の中にあると考えるとなんだか面白くなってくる。