中国の環境規制強化は喜べない? 行き場失った欧州のプラスチックごみ
5月11日、欧州は、これまで中国に送っていたプラスチック廃棄物の半分強を、他のアジア諸国に送り出した。1月に中国政府が環境規制を強化し、世界最大のリサイクル市場が閉ざされてしまったからだ。スペインで1月撮影(2018年 ロイター/Vincent West)
欧州は、これまで中国に送っていたプラスチック廃棄物の半分強を、他のアジア諸国に送り出した。1月に中国政府が環境規制を強化し、世界最大のリサイクル市場が閉ざされてしまったからだ。
だが、残りの半分をどうするかという複雑な問題が残っている。
当局者によれば、行き場のない廃プラスチックの一部は、建設現場から港に至るまで、さまざまな場所に積み上げられ、新たなリサイクル市場が生まれるのを待っているという。
地元に近い場所でのリサイクルにはためらいがある。プラスチックごみは洗浄・分別が不十分であることが多いからだ。中国が受け入れを拒否するようになったのも、まさに同じ理由からである。
欧州連合(EU)のデータによれば、2018年前半、マレーシア、ベトナム、インドをはじめとする諸国は、欧州からのプラスチック廃棄物の輸入をこれまでより大幅に増やした。だが、これらの諸国、あるいはそれ以外の国々がさらに受け入れを増やしてくれない限り、埋め立て、あるいは焼却以外の選択肢はなくなってしまう。
人口密度が高く、他地域に比べて埋め立ての制約もはるかに厳しい欧州大陸においては、行き場のない数十万トンの廃棄物を焼却することによって、電力・熱を得る足しにするというのが明らかな選択肢だ。
だが欧州がプラスチック廃棄物への対応に苦慮するなか、もっと奇抜なアイデアも発表されるようになっている。たとえば、石油を原料とするプラスチックをいったん地中に埋め、もっと先進的なリサイクル工程が実現した時点で「掘り返す」という方法だ。
英国政府の環境・食料・農村省で首席科学顧問を務めるイアン・ボイド教授は、ロイターの取材に対し、「(欧州の廃棄物処理政策は)今よりもはるかに精妙なものになっていく必要がある。場合によっては、実は埋め立てが非常に優れた選択肢になるからだ」
「私は現行システムに異議を申し立てている」とボイド教授は言う。現行システムとは、欧州の廃棄物処理政策が埋め立てを禁止・制限する一方で、彼が「空の埋め立て」と称する方法、つまり焼却によって汚染物質を大気に放出することをほとんどまったく制限していない事実を指している。