最新記事

廃棄物

中国の環境規制強化は喜べない? 行き場失った欧州のプラスチックごみ

2018年5月22日(火)18時55分


廃棄物を発電に

欧州では廃棄物を燃焼させて電力や熱を得る発電プラントの建設が好まれてきた。土地が不足しているうえに、廃棄食品やオムツなどの有機廃棄物が腐敗する際に、メタンなどの温室効果ガスや有毒物質が発生するためである。

廃棄物発電所からも温室効果ガスの排出はある。だが欧州諸国のほとんどで、この排出分に対しては、産業用市場において現在1トン当たり約14ユーロ(約1800円)とされている炭素税が免除されている。

ボイド教授は、プラスチック製造・焼却の際の温室効果ガス排出に対するペナルティーが現在よりも大幅に厳しくなりさえすれば、埋め立てに回るプラスチックは貴重な資源になる可能性があるという。

リサイクルを専門とするシンクタンク、エレン・マッカーサー財団によれば、世界的に見ると、プラスチックの製造から焼却に至るまでの過程で排出される二酸化炭素は、2012年には3億9000万トンに相当し、これはトルコなどの国による全排出量に匹敵するという。

プラスチック産業はこのような評価を疑問視しており、たとえば食品の保存や輸送の際の重量軽減などにより、プラスチックが他部門による二酸化炭素排出量の軽減に大きく貢献している点が無視されていると主張している。

欧州廃棄物発電施設連盟(CEWEP)では、加盟している約400の施設が9000万トンの都市廃棄物を利用し、数百万人に熱と電力を供給している。CEWEPは、プラスチック廃棄物を埋め、後から掘り返すというのは幻想にすぎないとしている。

「廃棄物を地中に埋めておいて、将来、魔法のようなテクノロジーが突然現れるのを待つというのは、責任ある選択とは言えない」とCEWEPのマネージングディレクターであるエレン・ステングラー氏は指摘。そのようなアイデアは欧州の「あちこちで」耳にするものの、少数派だと語った。

ステングラー氏は、埋め立て前にプラスチック廃棄物を洗浄するだけでも巨額のコストが必要であり、プラスチックが地中で劣化して、火災などが発生するリスクもあるという。

2014年、気候変動に関する国連による最新の評価でも、都市において金属、紙、プラスチックなどの廃棄物を分別し埋め立てることにより、将来のある時点で「採掘可能な物質の蓄積をもたらす」というアイデアを提示している。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

再送トランプ氏、グリーンランド領有を再主張 「デン

ワールド

イラン、サウジなどに米の攻撃制止要請か 米軍基地攻

ワールド

トランプ氏のグリーンランド獲得計画、米国民の支持1

ワールド

通常国会の早期に解散、高市首相が自民・維新に伝達 
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:総力特集 ベネズエラ攻撃
特集:総力特集 ベネズエラ攻撃
2026年1月20日号(1/14発売)

深夜の精密攻撃でマドゥロ大統領拘束に成功したトランプ米大統領の本当の狙いは?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「高額すぎる...」ポケモンとレゴのコラボ商品に広がる波紋、その「衝撃の価格」とは?
  • 2
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 3
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率が低い」のはどこ?
  • 4
    母親が発見した「指先の謎の痣」が、1歳児の命を救っ…
  • 5
    飛行機内で「マナー最悪」の乗客を撮影...SNS投稿が…
  • 6
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 7
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した─…
  • 8
    Netflix『ストレンジャー・シングス』最終シーズンへ…
  • 9
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 10
    「普通じゃない...」「凶器だ」飛行機の荷物棚から「…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 3
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 4
    中国が投稿したアメリカをラップで風刺するAI動画を…
  • 5
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 6
    Netflix『ストレンジャー・シングス』最終シーズンへ…
  • 7
    次々に船に降り立つ兵士たち...米南方軍が「影の船団…
  • 8
    ベネズエラの二の舞を恐れイランの最高指導者ハメネ…
  • 9
    母親が発見した「指先の謎の痣」が、1歳児の命を救っ…
  • 10
    「高額すぎる...」ポケモンとレゴのコラボ商品に広が…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 3
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 4
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「…
  • 5
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 6
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切…
  • 7
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した─…
  • 8
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 9
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 10
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中