中国の環境規制強化は喜べない? 行き場失った欧州のプラスチックごみ
廃棄物を発電に
欧州では廃棄物を燃焼させて電力や熱を得る発電プラントの建設が好まれてきた。土地が不足しているうえに、廃棄食品やオムツなどの有機廃棄物が腐敗する際に、メタンなどの温室効果ガスや有毒物質が発生するためである。
廃棄物発電所からも温室効果ガスの排出はある。だが欧州諸国のほとんどで、この排出分に対しては、産業用市場において現在1トン当たり約14ユーロ(約1800円)とされている炭素税が免除されている。
ボイド教授は、プラスチック製造・焼却の際の温室効果ガス排出に対するペナルティーが現在よりも大幅に厳しくなりさえすれば、埋め立てに回るプラスチックは貴重な資源になる可能性があるという。
リサイクルを専門とするシンクタンク、エレン・マッカーサー財団によれば、世界的に見ると、プラスチックの製造から焼却に至るまでの過程で排出される二酸化炭素は、2012年には3億9000万トンに相当し、これはトルコなどの国による全排出量に匹敵するという。
プラスチック産業はこのような評価を疑問視しており、たとえば食品の保存や輸送の際の重量軽減などにより、プラスチックが他部門による二酸化炭素排出量の軽減に大きく貢献している点が無視されていると主張している。
欧州廃棄物発電施設連盟(CEWEP)では、加盟している約400の施設が9000万トンの都市廃棄物を利用し、数百万人に熱と電力を供給している。CEWEPは、プラスチック廃棄物を埋め、後から掘り返すというのは幻想にすぎないとしている。
「廃棄物を地中に埋めておいて、将来、魔法のようなテクノロジーが突然現れるのを待つというのは、責任ある選択とは言えない」とCEWEPのマネージングディレクターであるエレン・ステングラー氏は指摘。そのようなアイデアは欧州の「あちこちで」耳にするものの、少数派だと語った。
ステングラー氏は、埋め立て前にプラスチック廃棄物を洗浄するだけでも巨額のコストが必要であり、プラスチックが地中で劣化して、火災などが発生するリスクもあるという。
2014年、気候変動に関する国連による最新の評価でも、都市において金属、紙、プラスチックなどの廃棄物を分別し埋め立てることにより、将来のある時点で「採掘可能な物質の蓄積をもたらす」というアイデアを提示している。