最新記事

廃棄物

中国の環境規制強化は喜べない? 行き場失った欧州のプラスチックごみ

2018年5月22日(火)18時55分


新たなリサイクル市場

プラスチック廃棄物による汚染は急拡大しており、国連環境計画によれば、2050年までに、海洋ではプラスチック廃棄物が魚介類の重量を上回る可能性があるという。

世界各国が輸出するプラスチック廃棄物の半分をこれまで処理していた中国は、廃棄物がリサイクル不能と判断されて焼却に回ることを防止するため、洗浄・分別の基準をもっと厳しくすることを主張してきた。中国の場合、焼却は「野焼き」という形をとることが多い。

欧州にとって、こうした基準の厳格化は事実上の輸出禁止として作用している。ロイターが閲覧した公式データによれば、今年1─2月の対中輸出は前年比96%減と壊滅状態にある。

マレーシア、ベトナム、トルコ、インド、インドネシアに代表される諸国が廃棄物の約60%を引き受けているが、なお行き場のない廃棄物があるということは、欧州にとって、低品質の廃棄物市場が崩壊したことを意味している。

英国のリサイクル団体「letsrecycle.com」によれば、紙ラベルなどの不純物の含有率が20%以下の輸出向けプラスチック廃棄物は、2017年4月時点で、1トン当たり25─40ポンド(約3700─6000円)で売却されていた。

ところが先月は逆に、廃棄物を引き取ってもらうために(1トン当たり)40─60ポンドの処理費用を払わなければならなかった。

国際リサイクリング協会のパタワリ・ボラド氏によれば、こうした状況にもかかわらず、欧州でリサイクルの劇的な拡大は見られない、という。「こうした未分別の素材は、電力・熱に転換されるか、単に焼却処分されているとしか考えられない」

廃棄物発電事業者の団体であるCEWEPは、焼却されるプラスチックが増大している兆候は見られないとしている。前出のステングラー氏は、プラスチックの比率が増えていれば、トン当たりで比較した産出エネルギー量が大きくなるため、焼却施設では気づくはずだと言う。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

高度の緊張、民間信用部門で流動性逼迫のリスクと伊中

ワールド

ロシア、ガソリン輸出を7月末まで禁止 国内供給を優

ワールド

ロシアの核ミサイル部隊、シベリアで演習実施

ワールド

インドネシア、株式市場改革が完了 MSCIの指摘に
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本企業に迫る サステナビリティ新基準
特集:日本企業に迫る サステナビリティ新基準
2026年4月 7日号(3/31発売)

国際基準の情報開示や多様な認証制度──本当の「持続可能性」が問われる時代へ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅」企業が救う、ウクライナの未来
  • 2
    なぜイスラエルは対イラン戦争を支持するのか...「イラン恐怖」の正体
  • 3
    中国がイラン戦争最大の被害者? 習近平の誤った経済政策と石油危機が奏でる「最悪なハーモニー」
  • 4
    攻撃開始日も知っていた?──イラン戦争を巡る巨額取引…
  • 5
    年金は何歳からもらうのが得? 男女で違う「最適な受…
  • 6
    人口減の自治体を救う「小さな浄水場」──誰もが常に…
  • 7
    北京に代わる新都市構想は絵に描いた餅のまま...大幅…
  • 8
    カンヌ映画祭最高賞『シンプル・アクシデント』独占…
  • 9
    「え、なんで?」フライト中に操縦席の窓が覆われて…
  • 10
    初の女性カンタベリー大主教が就任...ウィリアム皇太…
  • 1
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅」企業が救う、ウクライナの未来
  • 2
    ヘンリー・メーガン夫妻の豪州訪問に3万6000人超の反対署名...「歓迎してない」の声広がる
  • 3
    「水に流す」日本と「記憶する」韓国...気候と地理が育んだ「国民意識の違い」とは?
  • 4
    記憶を定着させるのに年齢は関係ない...記憶の定着度…
  • 5
    ロシア経済を支える重要な港、ウクライナのものと思…
  • 6
    攻撃開始日も知っていた?──イラン戦争を巡る巨額取引…
  • 7
    中国最大の海運会社COSCOがペルシャ湾輸送を再開──緊…
  • 8
    映画『8番出口』はアメリカでどう受け止められた?..…
  • 9
    なぜイスラエルは対イラン戦争を支持するのか...「イ…
  • 10
    オランウータンに「15分間ロックオン」された女性のS…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 4
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅…
  • 5
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 6
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 7
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 8
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 9
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
  • 10
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中