猫に出し抜かれた「トラック野郎」プーチンとクリミアの悲劇
ウクライナはクリミア併合の既成事実化に反発し、橋の建設による二次的な被害の補償も求めてロシア政府を提訴する構えだ。クリミア橋は、内海のアゾフ海から黒海に通じるケルチ海峡に架かっている。アゾフ海沿岸にあるウクライナの港から出港する船舶は、ロシア政府の許可を得なければ黒海から欧州に出ることもできなくなる
第二次大戦中、旧ソ連の多数の兵士が命を落としたクリミア半島の併合は、ロシア国民の誇りの拠りどころだ。ロシアの独立系世論調査機関レバダ・センターが今年1月に行った調査によれば、クリミア併合を誇りに思う人は43%に達し、世界文学におけるロシア文学の貢献(36%)や、旧ソ連の宇宙飛行士ガガーリンによる人類初の宇宙飛行(41%)を上回った。
クリミア併合後、プーチンの支持率は跳ね上がり、高い水準を維持している。だが、クリミア併合に対する欧米の経済制裁もあり、ロシアの実質所得は落ち込み、通貨ルーブルは下落し、公共サービスも悪化の一途をたどっている。その事実だけは、いくら猫でも吹き飛ばせない。
(翻訳:河原里香)