板門店以外も人気スポットに:韓国国民の関心高まる軍事境界線
かつて北とつながっていた京元線廃駅の月井里駅
<南北首脳会談が行われてから、その舞台となった板門店ほか軍事境界線が人気の観光スポットになっている>
軍事境界線に韓国国民の関心が高まっている。
南北首脳会談が開かれた板門店は、毎週火曜日から土曜日に見学ツアーが実施されている。外国人は政府認定ツアーへの参加が一般的で、韓国人は30人以上45人以下の団体で申し込みを行う。
韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領と北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長(朝鮮労働党委員長)が4月27に軍事境界線の板門店で「歴史的な会談」を行った際、握手から公式会談、記念植樹、徒歩の橋での散策風景などが生中継されると、国民は仕事の手を止めてテレビやネット配信にクギ付けとなった。
会談後は団体や学校などから韓国統一部への板門店見学に関する問い合わせが急増している。
板門店の見学は、警察の身元確認手続きなど申し込みから2ヶ月から3ヶ月先で、申し込みが多いと4ヶ月から5ヶ月先になることもある。会談を機に見学希望者が増え、見学が中断された期間中の申込者も累積していることから、実際に見学できるまでの待ち時間はさらに長くなると統一部は予想する。
見学コースは「自由の家」や「帰らざる橋」など韓国側地域の主要施設を回るが、会談が行われた「平和の家」は含まれていない。
板門店以外も人気の観光スポットに
一般人が見学できる軍事境界線は板門店のほかにもあり、人気の観光スポットとなっている。
京畿道には北朝鮮が韓国に侵攻する目的で掘った第3トンネルと都羅山展望台があり、江原道鉄原にも第2トンネルと展望台、かつて北とつながっていた京元線廃駅の月井里駅などがある。第2トンネルを含む鉄原の見学コースは、ツアー当日、先着順で申し込みを受け付け、仁川市江華島にある平和展望台も事前予約なしで見学ができる。
南北軍事境界線を挟む非武装地帯(DMZ)の観光商品を扱っている旅行会社への問い合わせが首脳会談以降は例年の1.5倍に増えるなど、春の観光シーズンを迎えたDMZは連日内外の観光客で賑わっているという。
韓国観光公社と非武装地帯(DMZ)を抱える江原道と京畿道は、観光需要に備えて旅行商品の開発とPRに力を入れはじめている。韓国観光公社は首脳会談の開催が決まった3月末、観光開発チームに「南北観光タスクフォース(TF)」を設置。文化体育観光部などと協議し、政府の決定を速やかに事業に反映させて観光客を呼び込む考えだ。
京畿道は道内と江原道北部の「統一経済特区」指定などに向けた実務推進団を設置する方針で、江原道は2008年に中断された北朝鮮・金剛山観光の再開などを推進する。
南北首脳間の合意が履行に向かって、さらに米朝首脳会談が板門店で開かれることになれば、DMZ観光客は一層増えると関係者は期待する。