最新記事

韓国事情

板門店以外も人気スポットに:韓国国民の関心高まる軍事境界線

2018年5月16日(水)17時40分
佐々木和義

都市協力、スポーツイベント、経済協力も

ソウル市の南北交流業務を担うチームは現在4人体制で、市は規模を拡大して「局」の新設を推進する計画だ。2010年から南北交流事業を実施していないチームの存在感はなくなりつつあったが、ソウルと平壌の都市協力やスポーツイベントなどの交流事業に備える方向で考えている。

現代グループも玄貞恩(ヒョン・ジョンウン)会長を筆頭に「現代グループ南北経済協力事業TFチーム」を本格稼動すると明らかにしている。

現代グループは1998年から金剛山観光や開城工業団地の開発など、南北の経済協力を進めてきた。2000年8月には現代峨山が鉄道、通信、電力、通川飛行場や金剛山の水資源と白頭山、妙香山をはじめとする名勝地の総合観光事業などの7大SOC事業権を取得した。

元山・通川地区協力事業開発に関する合意も結ぶなど積極的な展開を行ったが、2008年に金剛山観光が中断し、2016年には開城工業団地が閉鎖されて以降、北朝鮮関連事業は途絶えたままとなっている。

玄会長は、7大SOC事業再開に向けて万全の準備をしなければならないとしており、TFチームは、金剛山と開城の観光再開や開城工業団地再稼働など既存事業の準備事項の点検と、さらに北側と締結したSOC事業権に基づいて今後展開する南北経済協力事業を検討する。

関係者は息の長い「ブーム」に期待

融和と対立を繰り返してきた韓国と北朝鮮。平昌五輪を機にふたたび動き出した融和は合意が履行され、平和に向かうか気になるところだが、今後は良い方向に向かうだろうと専門家は分析する。

非武装地帯(DMZ)観光は、場所によって個人客はすぐにでも見学できるが、団体旅行客が見学できるのは申し込みから数か月先である。旅行業界が本格的な「南北首脳会談特需」を享受するのも数ヶ月先で、関係者は息の長い「ブーム」に期待を寄せている。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

トランプ氏とゼレンスキー氏が「非常に生産的な」協議

ワールド

ローマ教皇の葬儀、20万人が最後の別れ トランプ氏

ビジネス

豊田織機が非上場化を検討、トヨタやグループ企業が出

ビジネス

日産、武漢工場の生産25年度中にも終了 中国事業の
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
2025年4月29日号(4/22発売)

タイ・ミャンマーでの大摘発を経て焦点はカンボジアへ。政府と癒着した犯罪の巣窟に日本人の影

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 2
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口の中」を公開した女性、命を救ったものとは?
  • 3
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 4
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 5
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 6
    ロシア武器庫が爆発、巨大な火の玉が吹き上がる...ロ…
  • 7
    足の爪に発見した「異変」、実は「癌」だった...怪我…
  • 8
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 9
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 10
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 1
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 2
    「スケールが違う」天の川にそっくりな銀河、宇宙初期に発見される
  • 3
    【クイズ】「地球の肺」と呼ばれる場所はどこ?
  • 4
    「生はちみつ」と「純粋はちみつ」は何が違うのか?.…
  • 5
    女性職員を毎日「ランチに誘う」...90歳の男性ボラン…
  • 6
    教皇死去を喜ぶトランプ派議員「神の手が悪を打ち負…
  • 7
    自宅の天井から「謎の物体」が...「これは何?」と投…
  • 8
    トランプ政権はナチスと類似?――「独裁者はまず大学…
  • 9
    健康寿命は延ばせる...認知症「14のリスク要因」とは…
  • 10
    【クイズ】世界で最もヒットした「日本のアニメ映画…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった...糖尿病を予防し、がんと闘う効果にも期待が
  • 3
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 4
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 5
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 6
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 7
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 8
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 9
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中