東宝、海外進出を再起動 ハリウッド版「ゴジラ」と「君の名は。」へ共同製作出資

2018年5月15日(火)13時40分
数土 直志(ジャーナリスト)※東洋経済オンラインより転載

海外展開は近年の業績も背景にあるかもしれない。業績好調の一方で、同時に成長の限界も見えてきたからだ。国内配給だけでも東宝、東宝東和、東和ピクチャーズのグループシェアはすでに合計で4割近く。映画興行・製作も含めてここからさらに飛躍的に拡大するのは難しい。となれば目指すのは事業の多角化だ。2015年に発表した「TOHO VISION 2018 東宝グループ中期経営戦略」では、5つの重点投資領域の1つに「海外市場開拓のビジネスモデルの確立」を掲げる。映像本部国際部に専門チームを立ち上げたのもこの時期だ。

「新しいことをするのか、新しいところに行くしかない。海外を攻めなければいけない。40年ぶりの国際担当任命は、そのチームづくりのためと受け取っています」(松岡氏) 

典型的な国内産業とみられていた映画事業もまた海外を目指さざるをえない時代なのである。2018年4月に新たに発表された「TOHO VISION 2021 東宝グループ中期経営戦略」でも海外事業はブレークスルー(突破)戦略の1つとなっている。海外マーケット開拓の役割は大きい。

ハリウッドが注目する日本の作品

2010年代になって、日本のコンテンツをもとにした大作映画が世界で次々と姿を見せている。前述した『ゴースト・イン・ザ・シェル』や『アリータ:バトル・エンジェル』以外にも、『オール・ユー・ニード・イズ・キル』(2014)や、Netflixオリジナルの『デスノート』(2017)も記憶に新しい。

newsweek_20180515_134718.jpg

原作だけでない。2018年に世界的大ヒット、日本でも公開された『レディ・プレイヤー1』には、メカゴジラやガンダム、マンガ『AKIRA』のバイクといった日本発のキャラクター・アイテムが数多く登場して話題を呼んだ。日本のモチーフは世界の映画ファンの目を引く重要なパーツで、これを日本自身が活用しない理由はない。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

新型ミサイルのウクライナ攻撃、西側への警告とロシア

ワールド

独新財務相、財政規律改革は「緩やかで的絞ったものに

ワールド

米共和党の州知事、州投資機関に中国資産の早期売却命

ビジネス

米、ロシアのガスプロムバンクに新たな制裁 サハリン
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:超解説 トランプ2.0
特集:超解説 トランプ2.0
2024年11月26日号(11/19発売)

電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 2
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 3
    北朝鮮は、ロシアに派遣した兵士の「生還を望んでいない」の証言...「不都合な真実」見てしまった軍人の運命
  • 4
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
  • 5
    プーチンはもう2週間行方不明!? クレムリン公式「動…
  • 6
    Netflix「打ち切り病」の闇...効率が命、ファンの熱…
  • 7
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」…
  • 8
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 9
    巨大隕石の衝突が「生命を進化」させた? 地球史初期…
  • 10
    バカげた閣僚人事にも「トランプの賢さ」が見える...…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査を受けたら...衝撃的な結果に「謎が解けた」
  • 3
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り捨てる」しかない理由
  • 4
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 5
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
  • 6
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 7
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋…
  • 8
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 9
    クルスク州の戦場はロシア兵の「肉挽き機」に...ロシ…
  • 10
    沖縄ではマーガリンを「バター」と呼び、味噌汁はも…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大きな身体を「丸呑み」する衝撃シーンの撮影に成功
  • 4
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 5
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 6
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 7
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 8
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
  • 9
    モスクワで高層ビルより高い「糞水(ふんすい)」噴…
  • 10
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中